第64話ラグアの切り札
ミグの身体が6体に分裂した。
「おいおい?俺達が出てくるなんて何百万年ぶりだ?」
「焦熱さん、たぶん神魔大戦以来ですね。」
「久々に暴れられるみたいだな。」
「うわー、寝てたのに叩き起こされたよ。」
「お久しぶりです。無限様。我らの出番とはそれほどの相手ですか?」
「みんなー、久しぶりー。今日はみんなの力を貸して欲しいんだ。よろしくね。」
なんなんだよこいつ。
分裂体同士で会話はじめやがった。
「あっ、説明いる?あたし達ヘルスライムは、元々6体の強力なスライムの集合体なんだよ。ちなみにあたしが無限。他のみんなは焦熱、叫喚、衆合、黒縄、等活って言う風にそれぞれ独立した人格とあたしのスキルが使える。まあ、主人格はあたしだから基本的に出てこないけどね。人格が分散される分、分裂に対するリスクは0。つまりあたしが6人に増えたと思って?」
冗談じゃねーよ。
1人でも理不尽な化け物なのに、6人とか笑えねーよ。
もうダメだ。
俺は切り札の1つを切る事にした。
まずは…
「発動、帝級スキル、七大天使、召喚メタトロン。」
メタトロンの効果はダメージの無効化。
同系統スキルの七大罪の怠惰と同じ効果を持つ。
ここで一体失うとメタトロンはあと半日は使えないが仕方ない。
俺が死ぬよりマシだ。
そう。
俺はこれからメタトロンを使い捨てにする。
放つのは、超小型でもなんでもない、全力の超新星爆発。
アルムスじゃない亜空間だからこそ使えるこの技。
アルムスでこんな事したら惑星が終わる。
「あれー?なんかするのかな?何してももう無駄だと思うよ?」
ミグは地獄帝を発動させて完全に油断している。
チャンスは今しかない。
「続きはあの世で言っとけよ?死ね。」
俺の手から土星帝の力が溢れ出す。
「ヤバっみんな集まれー。防御してー。」
もうおせーよ、アホ。
俺の放った超新星爆発はそのまま亜空間の床に被弾する。
亜空間全体を地獄の破壊が襲う。
〜〜〜
ふう。
きつい戦いだった。
なんとか勝てたかな?
てかこれで死ななかったらヤバイだろ。
だがそんな俺の考えを否定する声がした。
「ゲホっゲホっ、ううっ、痛い。痛いよー。分裂体全滅だし。てか死ぬかと思ったよー。」
マジかよこいつ?
主人格を守った分裂体は全滅したが、本体の無限とか言うミグは、原型をとどめていないが生きてはいる。
そして生きている以上、不滅の帝があるミグは一瞬で再生する。
「ラグア、まさかここまで強いとは思わなかったよ。誇っていいよ。あたしをここまで追い詰めたのはロロ様、テオレーム様、ソドム様に次いでお前が4人目だよ。もう舐めてかかるのは終わりだよ。あたしの本気見せてあげるよ。絶望して?これがお前が敵に回したあたしの力だよ。」
「発動、光速の帝、理の帝、魔導帝、重力帝、不滅の帝、次元の帝」
ミグは言った。




