第758話偽りの神帝ティナ・ポロワ2
それからさらに数万年の時が流れる…
「はあ…オルメスの考えが未だにわかんない。世界は平和になったけど、その外側には宇宙なんていう広大な空間が広がってる。さらにその宇宙も一つじゃなくていーーーっぱいあるんだよ?ねえ?オルメス聞いてる?」
原初から数えて6番目の宇宙のオリジンゴッド…
遊戯の神、ティナ・ポロワは言った。
「聞いている。逆に私からすれば、ティナ、何故お前が未だに私の隣にいるのかどうかの方がわからない」
「えー?そんなの親友だからに決まってるじゃん?ティナちゃんそんなひどい事言われたら泣いちゃうよ?」
「…わかったそういう事にしておこう」
オルメテウスのその言葉を確認するとティナは部屋から出ていこうとする。
「…行くのか?」
オルメテウスのその言葉の意味は別宇宙に単騎で乗り込みオリジンゴッド狩りをするのか?という意味だ。
「行くに決まってるでしょ?ティナちゃんが思いついたのはつい最近だけど、オルメスを全宇宙の王にしてみんなが笑顔の世界を作るなんて、面白そうじゃん?こんなでっかい遊びなんて生まれてはじめてだよ?」
「なら私も…」
オルメテウスがその言葉を口にする前にティナは人差し指を立てる。
「ちっちっち、オルメスはそんな野蛮な事しちゃダメだよ?優しいオルメスのままでいなきゃね?あ、向こうから来るのはその限りじゃないから、心を鬼にしてやっつけなきゃダメだよ。覚えてる?こないだ見逃したヤツらが神の大軍引き連れて戻って来たのをさ?」
「……ティナ…」
「言わなくていいよ?オルメスはティナちゃんが帰った時におかえりって言ってくれるだけでいいからさ?」
今度こそティナは出て行った。
それから更に数万年…
運命は残酷である。
次々と宇宙を滅ぼし暴虐の限りを尽くしていたティナはオリジンゴッドのまま…
ただただ降り掛かる火の粉を払っていただけのオルメテウスはアラウザルゴッドとして覚醒した。
だが、事態はここから急速に動き出す。
アラウザルゴッドと化したオルメテウスに神々の帝…神帝ラピロアの影が迫りつつあったのだ。
曰く、その絶大なる力は指先で宇宙を滅ぼす…
曰く、その気まぐれな存在の前にたったならただひたすらに彼の機嫌を損ねない事を祈れ…
そんな存在が迫りつつあったのをアラウザルゴッドと化したオルメテウスも後になり損ないアラウザルゴッドと呼ばれる存在に至ったティナも知るよしもなかった。




