第757話偽りの神帝ティナ・ポロワ
〜数年後〜
虐殺遊戯と呼ばれはじめたティナは既に5度の進化を経て魔王へと至っていた。
この頃には固有スキル、遊び心は既に王級スキル、遊王へと進化を果たし、その他にももう一つ王級スキルを得ていた。
これを僅か10年にも満たない期間で成し遂げたティナは紛れもない天才だった。
クイーンワルプルギス…
それがそんなティナの種族だ。
そんなティナがオルメテウスと出会ったのは、この頃だ。
〜とある戦場〜
「最近経験値の入りが悪いなー…世界を遊び尽くすにはこんなんじゃ全然足りないのにさー?」
言いながらティナは次々と波いる兵士を陣営問わずに虐殺していく…
そんな時ティナは1人の子供を見つけた。
いつものように殺そうかと思ったが、ティナはそれをしなかった。
子供にしては相当強い力を持ってはいるが、それはそこらの兵士と変わらない。
こんな子供を1人殺したところで得られる経験値などたかが知れてる。
それよりもその子供の無表情とも言える表情は自分の子供時代を彷彿された…
見た目は男の子なのか女の子なのかさえわからない…
5歳?4歳?そんな子供が戦場にいるという時点でそれが異常な事にティナは今更ながら気づいた。
ティナはその子供に話しかける。
「こんにちはー。ティナちゃんはティナ・ポロワ。こんなところで何してるの?ここは強くないと遊べない場所だよ?」
虐殺遊戯=ティナ・ポロワはもう周知の事実だ。
ティナは泣かれるか逃げられるかと思っていた。
だが、ティナの予想は裏切られる…
「オルメテウス。争いなんかなくて、みんなが笑顔でいられる世の中にする為にここにきたの」
「長いなー。オルメスって呼ぶね?あれ?よく見たら神霊族かな?珍しいね?ティナちゃん絶滅したかと思ってたよ?」
神霊族…それは長い年月を経てやがては神に至ると言われる種族だ。
成体になれば絶大な力を持つに至るが、幼体のうちは他の種族とそこまで大差はない。
無論人間よりは遥かに強いが…
「みんな他種族に殺された。私はその生き残り。だからもうみんなが死ななくてもいい世界にする為に…世界を統一する為にここにきたの。戦いは嫌いだけど…」
オルメテウスのその言葉にティナは首を傾げる。
「ん?なんでそうなるの?普通は同族を殺した他種族を皆殺しにする為に力を蓄えるでしょ?事実ティナちゃんはティナちゃんを裏切った元家族は皆殺しにしたよ?」
「そんなことしても何も変わらない。復讐は次の復讐を呼ぶから争いはなくならない。不幸が生まれるだけ」
「あー、もうっ!!わけわかんないよー!?」
ティナは叫んだ。
それがティナとオルメテウスの出会いだった。




