第750話覚醒神たちの大戦12
「へぇ?詳しく理由を聞いても?」
喜鬼のその言葉に先に反応したのは、俺ではなく姉ちゃんだ。
「いいよ。その前にひとつ説明してあげる。神の能力のひとつである未来予知…それにはその先がある。まあ先って言うよりは派生って言った方がいいかな?正答率は9割程度だし、内容も曖昧だしね…。ここまでわかったかな?じゃあ聞いてね?この先どうなるかを…予言」
喜鬼はそう言っておそらく今話した未来予知の派生であろう、予言を発動させる。
その瞬間、喜鬼の雰囲気が虚なものに変わる。
一瞬この間に攻撃しようかとも思ったがさすがにそれはやめた。
予言も気になるしな?
「…凶暴なる白兎の軍勢が太古より眠れる覇者の首筋に食らいつく…されど眠れる覇者は覚醒し真の覇王としての力を解放する…白兎の軍と覇王の軍はぶつかり合う…白兎の軍…覇王の軍…共に半数以下になろうとも二人の王の力は衰えない…手負いの白兎の力は凄まじい…されど深手を負った覇王の力も凄まじい…ぶつかる二人の王…互いに満身創痍の激闘を終わらせるは、太古より君臨しせる神帝…積み重なる強大な両陣営に与する神々の残骸は、再び復活こそすれど二人の王の力の証明に他ならない…」
喜鬼の雰囲気が元に戻る。
「ねえ?もうやめない?」
喜鬼は言った。
おそらく白兎ってのは俺の事だろう。
俺の軍勢ってのはイグロシアル最高戦力…
眠れる覇者…そして真の覇王ってのはオルメテウスのことだろう。
覇王の軍ってのは喜鬼達…
そして戦いを終わらせる太古より君臨しせる神帝ってのはラピロアだな。
つまり…
この大戦が泥沼化して決着のつかない上に、お互い黄泉の神で復活するとはいえ、それなりの被害を出す事を示唆してるって事か。
さて、どうするか…
「姉ちゃんどう思う?」
困った時はもちろん姉ちゃんだ。
リーゼがいればそっちにも聞くが、今は姉ちゃんしかいない。
「あたしとしては鋭治しだいね。その予言とかいう能力だと、あたし達の半分以上が死ぬみたいだけど同時に黄泉の神も使えるみたいだからどちらでもいいわ?」
姉ちゃんは答えた。
俺は他のメンバーを見据える。
皆一様に俺の判断を待っているようだ。
俺は考える。
黄泉の神で復活できる前提なら、オルメテウスとの戦いで神格エネルギーの奪い合いによって決着はつかずとも配下達の大幅な戦力アップが期待できる。
まあ、オルメテウスは極力戦いたくはないみたいだが、俺にはそんな考えはない。
なら…
「殺るぞ?予言がどうだか知らねーが、あんまり舐めてると全滅するって事を教えてやるよ?」
俺は言ったのだった。




