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第736話大戦の前兆2


俺はラピロアとの話がまとまると、神通を発動してミーラルを呼び寄せる。


「ラグア様、出撃はまだ先では…ひっ!?」


ミーラルは転移してきてそう言いかけたが、すぐにもう1人の人物に気づき悲鳴をあげる。

正体がわからなくても、化け物であることはわかるようだ。


ラピロアは無言で笑みを浮かべて俺に視線を送る。

俺に紹介しろってか?


「ミーラル、ラピロア様だ」


俺はめんどくせーから短くそれだけ言った。


「えー、それだけー?」


俺の紹介にラピロアはなんか不満そうだが知らん。

だが、ミーラルにはその紹介で十分だったらしい…


「八面…イナゴの王…全宇宙の頂点…」


ミーラルはうわ言の様にラピロアの異名を呟く。


「はははっ、君みたいな特別な子に面と向かってそう呼ばれるのは随分久しぶりな気がするよ。じゃー改めて…ボクはラピロア…イナゴの王にして、全宇宙最強…神々はボクをこう呼ぶ…八面のラピロアと…」


その瞬間放たれるラピロアの威圧感はさすがと言うべきだ。

ミーラルはびくりと身を震わす。

だが…


「なあ?俺の時にもそれに近い事を言ってたが、ミーラルみたいなわかってるヤツにもそれをやる意味あんのか?」


「………ラグアもエルミナもボクの威厳に何か恨みでもあるのかな?絶対に今そーゆー雰囲気じゃなかったよね!?」


「ミーラル、おもしれー主様だろ?」


俺はラピロアには答えずにミーラルに話を振る。


「絶対主だと思ってないよね?主の扱いじゃないよね!?ラグア?ねえ?」


「えっと…」


俺はラピロアの言葉を華麗にスルーする。

ミーラルは俺とラピロアのそんなふざけたやりとりにたじろぐ。


ラグアのせいで威厳を崩壊させられたラピロアだったが、ミーラルは全く違う受け取り方をしていた…


イナゴの王にこの物言い…

これが白天…

イナゴの王のお気に入り…

従うしかない状況だったが、下手に出たのは正解だった。

ミーラルはそんな事を思った。


「わっちはミーラルと申します。全宇宙の頂点と名高い八面様にお会いできて光栄にございます」


その言葉にラピロアは目を見開く。


「…特別な子なのにちゃんとしてる!?いや、読心で見る限りは紛れもない好戦的なイナゴらしいイナゴなんだけど…ラグアとエルミナにも見習わせ…」


「余計なお世話だ」


俺はラピロアに最後まで言わせずにそう言ったのだった。

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