第735話大戦の前兆
さて、エルミナへの協力要請はした。
こちらの手札にはミーラルがある以上、それなりの成果は得られるだろう。
まあ後は準備だな。
「リーゼ。同盟勢力全てに出撃準備を整えさせて普段ミーラル待機している宇宙に送れ。逆にミーラルは俺の支配下の宇宙に惑星ごと送れ。時間がないから使えるオリジンゴッドは全部使っていい。すぐにかかれ」
「オッケーパパ。プランDよりのプランCだね」
リーゼはそう言って部屋から退室する。
プランD…これは本来計画がうまくいかなかった時の保険だった。
普段ミーラルが待機している宇宙に同盟勢力達…最高神を含めたオリジンゴッド達を集めて攻撃準備を整える…ってのは建前で実際には空っぽの宇宙に監禁したオリジンゴッドを全部食って神格エネルギーに変換する鬼畜な作戦だ。
大量の神格エネルギーを得る代わりに、俺の最高神達からの評判は地に落ちるから二度と同じ手はできない。
そして、プランC…それはミーラルという手札をラピロア達に見せつける代わりにラピロア達の限定的な協力をとりつけるというもの…
おそらくミーラルって手札を切ってもラピロアは全面協力はしない。
局所局所には使えるが、オルメテウス自体はこちらで倒すつもりでいた方がいいだろう。
とにかく今は時間がない。
ラピロア達からの返答が来る前に急いで同盟勢力をかき集める必要がある。
1万6千年以上かけて集めた同盟勢力を無駄死にや使わないなんて手はない。
全部俺の血肉に変えてやる。
ラピロア達が出張った後では、使える連中はかなり減らされる。
今のうちに…
俺がそんな事を考えていた時だ。
「やっほー。ラグア、遊びにきたよー?」
おい…いくらなんでも早すぎるだろ…
まだエルミナと神通を切ってから10分だぞ?
「…ラピロア様、久しぶりだな?エルミナから聞いてねーのか?俺は準備してるってよ?」
「いやー、聞いたんだけどさ?新しい特別な子がいるって聞いたら待ちきれなくなっちゃってさ?」
「それより先に協力の件を聞かせてくれ」
「とりあえずその子に会わせてくれるなら、ある程度の協力はするさ。君が楽しめる舞台はボクが整えてあげる。それからこれはラグア、君が呑むかはわからないけど、その新しい子をボクにくれないかな?対価は今回の協力とは別に、一度だけ…エルミナやその新しい特別な子に関わる以外なら、どんな願いでも聞いてあげる。どう?」
それは破格の条件だった。
これが平時なら即俺は飲んだだろう。
だが…
「初手に大義名分を作るのに、少しだけミーラルは俺の手元に置いておきたい。その後ならいいぜ?」
「交渉成立だね。じゃーミーラルって子に合わせてよ。ラグアの作戦も交えて動きの確認もついでにしとこうか?」
こうして、ラピロア派閥…
俺も属している現アラウザルゴッド最大勢力が動き出すのだった。




