第730話ウリンの望み
さて、この質問でウリンはなんて答えるだろう?
これが俺の配下達ならだいたいは遠慮する…
既にドムトルを生き返らせた後だしな?
だがウリンは形式上は俺の配下だが、完全に俺の配下かと言われると首を傾げるざるおえない立場だ。
元々同盟から入り、リーゼ主導の同盟の廃止と共になし崩し的に星王の地位を得た。
そんなウリンが褒美に何を望むのかは純粋に気になる。
「ラグア殿、なんか貰いすぎな気がするけど本当にいいの?」
「ああ、大抵の事は叶えるぞ?」
俺は言った。
「なら…助手が欲しいわ。それもあたしの代わりをできるぐらいのね?」
俺はウリンのその言葉に一瞬固まる。
は?
無理じゃね?
大抵を逸脱しているウリンの言葉に俺は耳を疑った。
「あ?そんなヤツいるわけねーだろ?プロトウリンには個体差があるにせよ、オリジナルであるお前を超えるヤツは未だに現れない」
戦闘面はともかく、技術面ではウリンは紛れもない天才だ。
どうゆう意図だ?
俺はウリンに読心を使う。
そして…
「…お前、休みが欲しいならそう言えや?わざわざそんな周りくどい言い方をしなくてもよ?」
「…あたし無しで研究所が回るとでも?」
俺のその言葉にウリンは強気にそう言った。
うん、はっきり言って回らない…
ウリンとウリンの現在の助手であるプロトウリンにはそれだけの開きがある…
ウリンがここでいきなり休めば、残ったプロトウリン達ではタンクの研究はロクにできないだろう…
「…わかった。とりあえず保留にする」
俺はとりあえずそう濁した。
「リーゼ殿かリオーナ殿を貸してくれればそれでもいいんだけど?たぶんあの2人ならすぐにものになるし…」
「それは論外だ」
俺はは今度ははっきりと拒否した。
リーゼや姉ちゃんはイグロシアル最高戦力であると同時に俺の参謀でもある。
あの2人は自力で俺よりも遥かに優れた作戦を組み立てて遂行できる数少ない存在だ。
確かにウリンの代わりにはなるかも知れないが、とても回す気にはなれない。
と…そこまで考えたところで俺は1つ思い至る。
プロトクローンならどうだ?
思えばリーゼや姉ちゃんのプロトクローンは作っていない。
やってみるのも手か…
「ウリン、リーゼや姉ちゃんのオリジナルは出せないがプロトクローンなら許可する。どのぐらいのレベルに仕上がるかわかんねーが、それでどうだ?」
「さすがにそれはあたしの独断じゃできなかったから助かったわ。さっそく取り掛かるわ」
最初からこっちが狙いか。
まあいいや。
これでウリンの褒美の件は解決した。
〜
ウリンが退室した後…
さて、ミーラル達と兄ちゃん達も、連日俺の同盟宇宙に攻撃を開始している。
オルメテウス達や他のアラウザルゴッドにはまだ動きはないが、同盟宇宙からの神通は鳴り止まない。
こちらはそろそろ手を打つべきか?
俺はウリンが退室したあとの玉座で、計画を次の段階に移行するか考えるのだった。




