第729話鍛神ドムトル2
「ドムトル?一つ勘違いをしている様ですね?アルムスなどもうありません。私の悲願は達成されました。ねえ?ラグア様?」
エリローズのその返答にドムトルの表情は再び驚愕に染まる。
最高神様が負けた?
たしかこいつはかつて宇宙の消滅をかけて最高神様と争った。
つまり…
「ジジイは俺が殺した。だが、そう悲観的になることもねえ。ゼギウスやセルナースもここにいる。かつての仲間なんだろ?後であいさつしとけよ?」
コイツが最高神様を…
だが、自分ではコイツどころかエリローズにすら手も足も出ないだろう…
エリローズから感じる力はかつては圧倒的に思えたが、今ではコイツ同様まるで底が見えない。
ドムトルは俺の言葉に答えない。
俺は続ける。
「それから俺の目的だったか?お前を生き返らせたのは俺のウリンに対する日頃の働きに対する褒美だ。そして俺の最終目的は俺の生きやすい世界を作る。それだけだ。これで答えになったか?」
かつてのラグア・ベルゼ・アルムスは確かに強かった。
事実自分はエリローズとラグア・ベルゼ・アルムスに殺されている。
だが、同時に甘さ…いや甘さと言うのか?
悪なりに最低限の倫理観は持っていた。
だが、おそらくそれはコイツには存在しない。
やるか?コイツは最高神様の仇だが…しかし…
「やめとけ、やめとけ。いくらウリンの褒美に蘇らせたとはいえ、暴れるなら俺はお前を消さなければならない。もう仕える主もいねーんだろ?なら好きにしろよ?俺の邪魔をしなければ俺は何もしねー。そもそも興味もねーしな?」
どうやら読心で心を読まれたらしい。
確かに今コイツと戦っても何にもならないどころか無駄死にだろう。
興味がないと言うのは言葉通り自分ごときの力など、コイツにとってはまるで眼中にないという意味だろう。
「…わかっている。今後については少し考えるとしよう」
ドムトルは少しの沈黙の後にそう言葉を出した。
「なら話は終わりだ。シュドレを呼べ。ゼギウスを伴って適当に案内させろ」
俺はそう言ってドムトルを退室させる。
まあ後はウリンがうまく言いくるめるだろうから俺は知らん。
それより…
「で?ここまでは俺のお節介だが、もう一つの褒美は何がいい?」
俺はウリンに再度そう聞いたのだった。




