第728話鍛神ドムトル
「…誰だ?死した我を再び呼び戻すのは?」
タンクそっくりの蘇ったおっさん…鍛神ドムトルは周りを見渡しながらそんな事を言った。
「俺だよ。ウリンの願いだからな?働きには報いるのが支配者の務めだろ?」
俺は復活したばかりのドムトルに向かって尊大に言った。
俺の言葉にドムトルはウリンの方に視線を送る。
「…神童の子か…懐かしいな。あれから何年経った?」
「お久しぶりです、ドムトル様。あれから1000万年近い時が流れております」
「そうか…大きくなったな…」
ドムトルはそんなウリンに対して感慨深そうにそう言った。
だが、そんな雰囲気をぶち壊す者がいた。
「おやー?ドムトル?久しぶりの再会なのに私には挨拶は無しですか?かつて共にアルムスを作った仲間じゃないですか?」
「エリローズ…」
ドムトルはエリローズを睨みつけた。
ドムトルからして見ればどの口が…と言いたくなるが、そんな事より…
「エリローズ。お前こそ一度我を殺しておいて再び蘇らせた理由を言え」
ドムトルのその言葉にエリローズは笑う。
「ふふふっ、その偉そうな口も相変わらずですね?その様なチンケな神格エネルギーで…」
「おい、エリローズ煽るな」
復活したばかりのドムトルに明らかに喧嘩を売っているエリローズを向かって俺は言った。
ドムトルの視線が今度は俺に向く。
「…貴殿ははじめてみるが、まるで底が見えん。貴殿は我を蘇らせたのはウリンの願いと言った。貴殿は何者で何が目的だ?」
「くくっ、おもしれー事を聞くじゃねーか?俺はラグア・エルライド・イグロシアル。この国…惑星国家イグロシアルのトップで合計11個の宇宙を束ねるアラウザルゴッドって言うのがお前らにはわかりやすいか?」
「なっ!?ここはアルムスではないのか!?それに理不尽なイナゴだとっ!?エリローズっ!!どういうことだ?」
ドムトルは驚愕の表情を浮かべながらウリン以外では唯一の顔見知りであるエリローズに詰め寄った。
かつて最高神様が言っていた事があるオリジンゴッドを超える存在…
最高神様は仰った…
おそらく出会う事はないが、もし出会う事があったら絶対に逆らうなと…
抵抗は無意味…
なぜならそれは一種の災害だから…
ただ受け入れ…そして嵐が過ぎ去るのを祈りながら待てと…
そうか…これが…
ドムトルは目の前にいる底の見えない化け物を見ながらそんな事を思うのだった。




