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第727話ウリン・ドーラス・イグロシアル


ウリンは思う。

これは夢だろうか?

目の前には1000万年近くぶりに復活した自分の創造神…

鍛神ドムトル様がおられる。


思えば自分の人生は挫折の連続だった…




ウリン…それがあたしの最初の名だ。

そこには今のようにドーラスの名前もイグロシアルの名前も後には続かない。

親も平凡…貴族ですらないあたしだったが、自分で言うのもなんだが天才だったのだろう。

ドワーフ国家ドーラス王国ができる前…鍛神ドムトル様が建国した国…ドーラス神国で、3歳で神童と呼ばれ、5歳で人工スキル研究室の室長を任されるまでになった。

だが、そんなあたしの栄光は長くは続かなかった。

動き出した大魔王…

それに呼応する邪神…

ヤツらは力にものをいわせドムトル様を討たんとばかりに進軍を開始した。


まだ若かった自分は大魔王ラグア・ベルゼ・アルムスと邪神エリローズの同盟軍との戦いには参加していない。

序盤はドーラス神国のアルムス最高峰ともいえる技術…

そして何よりドムトル様自身の圧倒的な力で当時アルムス最強と呼ばれた大魔王ラグア・ベルゼ・アルムスの大軍に対して一歩も引かないどころか優勢に立ち回った。

だが、それは大魔王と邪神が前線に出てきた瞬間に一瞬で瓦解した。

ヤツらの前ではアルムス最高峰の技術もドムトル様の神のお力もなんの役にも立たなかった。

あたし達ドワーフの父とも言えるドムトル様が死んだことは悲しい。

だが、それ以上に悔しかった。

自分達が誇る技術が神を自称する化け物達の前ではなんの価値もなかったことが…


あたしには神から与えられたスキルっていう名の理不尽な才能はない。

敗戦後の国内であたしはひたすらに研究に打ち込んだ。

その過程で生まれた人工固有スキル、不老は寿命を気にせずに研究に打ち込める点では大いに役に立った。




それから数百年…


風の噂で聞いたが大魔王は死亡…さらには邪神が封印されることになったらしい。

ここまではいい。

だが、それにより大魔王と邪神の配下達が周りの被害を一切無視して戦争をはじめたのは、冗談ではすまされない…


理不尽…

天を引き裂き、地を穿つ閃光の嵐が当たり前のように吹き荒れる…

あたしはヒステリックに叫びたくなるのを堪えながら地下深くに身を隠して嵐が過ぎ去るのを待つ…




後に神魔大戦と呼ばれた悪夢のような大戦が終わった。

生き残りはあたしを含めてたった5人…

研究施設も研究サンプルも全部焼け野原に変わった。

だが、本当に重要なサンプルはあたしの体に埋め込まれているし、何より今までの研究はあたしの頭の中に残っている。

あたし達はこれで終わりじゃない。

これははじまりだ。


「よく生き残ったわね?創造主たるドムトル様を失ってから数百年…多くの同胞を失った…。けれどあたし達は生き残った。なんでだと思う?それは、はた迷惑な神々にあたし達の技術の偉大さをわからせてあげる為…そしていつの日か、ドムトル様に立派になったドムトル様の子であるあたし達を見てもらう為…。ここにドワーフ国家、ドーラス王国の建国を宣言する。ついてきなさい。あたしとあんた達で一から作りなおすわよ?見せてやる…いずれ神々も恐れるだろうあたし達ドワーフの技術の真髄を…」


あたしは高らかにそう言い放った。


そう…これは今から1000万年近く前の話である。

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