第726話タンク3
〜数分後〜
「ラグア殿、失礼します」
俺の呼び出しに応じたウリンが玉座の間に入室した。
「ウリン、わざわざ悪いな。まあ適当にくつろげや」
俺はそう言ってウリンを適当に労う。
「まあ、そうするわ。それで?話って何?タンクの改良型が完成間近だから今けっこう忙しいんだけど?」
「ほう…」
俺はウリンの言葉の前半でドムトルの話を切り出そうとするが、続く後半の言葉でそっちに興味を惹かれる。
「タンクは正直、元のゴッズウェポンの性能が酷すぎたからああするしかなかった。でも他の余っているゴッズウェポンや神級武器や神級装備は違う…。今は試作型が一体しかいないけど、これが成功すれば意思を持った神級兵器達の軍団が完成するわ」
ウリンは努めて専門的な説明を省いてそう言った。
おもしれー。
神級ロボの軍団?
正直心躍るのは俺だけか?
「いいじゃねーかよ?その軍団の大将は他でもないお前だ。リムリットに負けないぐらいの神級軍団を作れよ?」
「ええ、技術面であたしに不可能なんてないから?」
ウリンは自信たっぷりにそう答えた。
さて、話が逸れたがちょうどいい。
今の件の褒美にちっと話を振ってみるか?
「さて、そんなお前に俺から褒美をやろう。一つは考えてあるが、たぶんこれだけじゃお前の今までの功績には合わない。もう一つは何がいい?」
「もう一つ?悪いけどこれ以上の地位はもういらないわよ?仕事が増えるのはもうたくさん」
ウリンは言った。
そう言えば俺今までウリンにけっこう無茶させてたわ…
ウリンは俺が新たに役職を与える代わりに更なるめちゃくちゃを押し付けると思って勘ぐってきた。
まあ、リーゼの件とかコイツの自業自得の面もあるから俺だけが悪いとは言わねーがな?
「そんなアレじゃねーんだけどな?まあいいや。先にやっちまうか。エリローズ、記憶を見せろ?発動、神級スキル、黄泉の神、対象、鍛神ドムトル」
俺の黄泉の神が発動し、鍛神ドムトルが復活する。
ウリンは一瞬何が起こったのかわからずに目を見開いたまま固まっている。
「…ラグア殿?これは…」
しばらくして、ようやくウリンが言葉を捻り出した。
「俺からのサプライズだ。気に入ったか?」
読心で見えるウリンの反応を見る限り、ウリンがこれを望んでいたのはわかっている。
「ラグア殿………ありがとうございます……」
ウリンは普段なら絶対しない態度…
玉座に座る俺に跪くのだった。




