第725話タンク2
「いいか、よく聞けよ。まずタンクの元になっているゴッズウェポンはライナーが使っている神喰の剣に近い効果を持つ」
「はいはい」
聞いているのか聞いていないかは知らないがエリローズは相槌を打つ。
「まあ実際今回ぶっ壊したのは杖だが…はっきり言ってアレの性能はゴミだった。下級神からでも神格エネルギーを吸収できるって言えば聞こえはいいが、まともな神…例えばオリジンゴッドなんかに対する攻撃手段に用いれば、負荷に耐えきれずに砕け散るし…一応壊れても元通りに再生するが、壊れればため込んだ神格エネルギーは全部散っちまう」
そうあれはそんなどうしようもないゴッズウェポンだった。
能力は下級神からの全ての神格エネルギーを持つ存在の神格エネルギーを吸収して溜め込むこと…
そしてその神格エネルギーを使用できること…
だが、まともな使用を躊躇させる問題だらけのゴッズウェポンだったのだ。
「ほうほう」
再びエリローズは相槌を打った。
俺は続ける。
「そんなゴミみたいなゴッズウェポンで、宇宙を潰した戦利品に獲得したはいいが、何千年も倉庫に眠る事になった」
「はいはい」
「だが、そんな使い道のないゴミはリーゼのトレードによりウリンの手に下級神が渡ってウリンが神格エネルギーの研究をはじめた事により一転した。具体的にはプロトクローンの技術を使っているらしいが、俺にはそこまで専門的な話はわからねー。そして生まれたのがコイツって訳だ」
俺はタンクに視線を向ける。
「タンクの能力は下級神からの全ての神格エネルギーを吸収できるのと、登録した存在が下級神を含む神を倒した時に自動的に神格エネルギーがそちらに流れるってヤツだ」
「なるほど…だからタンク…要は貯蔵庫ってことですね?」
「そうだ。ついでに言うならプロトクローン技術の応用で最低限の自由意思を持たせたらしい。まあ元が脆すぎるゴッズウェポンだから神格エネルギーを使用することは許可されていない。まあ、同盟を結ぶ上で邪魔になる有象無象を処理するぐらいなら、アレで十分だった。登録者…つまりはウチの最高戦力の守りをかいくぐりタンクを破壊できる連中なんかいねーしな?」
「あれ?その話だと最高戦力に普通に吸収させた方が効率的じゃないですか?」
「…話聞いてたか?ウチの最高戦力はお前を含めて全員オリジンゴッドだ。オリジンゴッドはオリジンゴッド以上からしか神格エネルギーの吸収はできない。そして一つの宇宙にいるオリジンゴッドの数はアラウザルゴッドの支配下みてーな激戦区以外では、せいぜい数体だ。そんな連中は基本的にこちらとの格の違いがわかるから表だって敵対してこねー。邪魔してくる有象無象はそれ以下の雑魚がほとんどだ。わかったか?」
「なるほど、つまりはオリジンゴッドからはほとんど神格エネルギーを回収できないから、雑魚共のチンケな神格エネルギーをかき集める為にアレを作ったと?」
まあ間違ってねーが、面と向かってそう言われると腹立つわ…
コイツの為に説明はしたが、もうこの話は終わりだ。
「…話は終わりだ。ウリンを呼べ」
俺はエリローズの問いには答えずにそう言ったのだった。




