第711話参謀会議
コレートルを吸収した後に核玉を使用した翌日…
俺は玉座の間にリーゼと姉ちゃんを集めていた。
既に2人にはコレートルから得た神格エネルギーや核玉の説明はしてある。
〜
「で?リーゼの作戦とは別に姉ちゃんからは何かあるか?」
俺は言った。
ついさっきリーゼはある作戦を俺に提案してきた。
作戦自体は悪くはない。
ただ問題はこの作戦には大きなデメリットと小さなデメリットの二つがあることだ。
「あたしとしては悪くはないけど、鋭治はそれでいいの?かなり消極的だし、小さなデメリットの方はむしろメリットでもあるけど…」
姉ちゃんは答えた。
小さなデメリット…それは作戦が完了するまでの時間の推測がまるでつかないってことだ。
まあ姉ちゃんがメリットでもあるって言うのは、その間に同時進行で別の作戦も遂行できるからだ。
「問題は大きい方のデメリットだな…確かにユニオンが結成されてから侵略のペースが落ちたとはいえ、これ以上ペースが落ちるのはな…」
リーゼの作戦は決行したら自由な侵略がやりにくくなる。
「うーん…これが一番リスクが少ないはずなんだけどなー…。パパの神格エネルギーを増やすのは大変になるけど、ユニオンの10や20潰したところで今のパパにとっては誤差でしかない。だったらそんなことよりリーゼはこの作戦を推奨するよ。もちろんリーゼ1人でやるわけじゃない。リムリット神衛団も協力させるよ。リーゼはこの為に無能な弟や妹を今まで助けてきたんだからさ?おかげで古参のリムリット神衛団のメンバーはあらかたリーゼが掌握したって言っても過言じゃない。しかもちょうどいいタイミングで、リムリットもリオ姉に叱責された反省で黙認する。他のアラウザルゴッドの抑制にもなるし全てはうまくいくはずだよ」
「こないだのルルの生誕祭の一件もその布石かよ…」
「さすがね…ついにあたしの行動も作戦に組み込むか…久々にやられたわね…」
珍しく悔しそうに負けを認めた姉ちゃんに、リーゼは無邪気に笑う。
リーゼの作戦…名付けて白の包囲網計画…
全宇宙の最高神…他のアラウザルゴッドについていない勢力に向けてコスパのいいプロトクローンを監視役としてばら撒き、形式上の同盟を結ばせる。
とはいえ、作戦の前段階として全宇宙にプロトクローンを放つにはプロトクローンがいくらいても足りない上に、それを管理する人材も必要である。
プロトクローンの数自体はこの千年で恐ろしいまでの数に膨れあがっているが、それを全部リーゼ1人で管理するのはいくらリーゼの頭脳が常人離れしているとはいえ不可能だ。
そこでリーゼがひっぱり出したのはプロトクローン程ではないが、現在進行形で増え続けているリムリット神衛団である。
俺の神格エネルギーが増えた事により、創造の概念から1日に生まれる下級神の数も、千年前とは比べものにならない。
そう腐っても下級神…
神託をつけることでプロトクローンとの意思疎通が可能だ。
全てはこの為の布石…それも今回は姉ちゃんの行動すらも利用して…本当に呆れる頭脳である。
この作戦の大きなデメリットだと思っていたものは、微々たるものだった。
俺の脳内はもうほぼ実行に傾いている。
だが一度いろいろ整理しよう。
俺はそう考えて思考を巡らせるのだった。




