閑話とある堕天使のお話
私の名前はリリス・ヘヴン。
13魔王内序列第9位の魔王だ。
現在私はピンチだ。
正直、目の前の魔王には勝てるビジョンが全く浮かばない。
だからこのまま何も出来ずに殺される?
否。
私は単純な戦闘力で言えば、第三世代の中では最弱だ。
だがそれは正面から小細工なしでやりあった場合に限る。
先程の魔王との会話から、大人しく帰してくれる目は消えたが仕方がない。
時間は稼げた。
目の前の魔王は圧倒的な実力差の為か完全に油断している。
おそらく私の王級スキルは見たが、詳細までは確認していない。
事実、私の王級スキルでは帝級スキルを持っているだろうヤツには手も足もでない。
どころか、王級スキル程度ではダメージすら与えられないだろう。
だが、私の王級スキルは戦闘よりも生き残ることに特化している。
王級スキル、毒生王、このスキルは様々な毒を生み出す。
毒は相手にダメージを与えるものばかりではない。
そんな使い方をしても、ラグアと言う魔王には意味はない。
ドーピング、つまり能力を上げる事も可能だ。
会話をしている間に超速再生と即死無効、高速思考はつける事に成功した。
ステータス超過はあえてつけない。
あれはつけたらステータスが見えているヤツにはわかってしまう。
ステータスが跳ね上がれば即座に殺されるだろう。
このスキルの難点は3つ
1つ目は発動が遅い事。
相手を目の前にして使えるのは今回のような油断しきっている場合に限る。
2つ目は効果時間がそれほど長くない。
せいぜい1時間程度しか持たないだろう。
3つ目は副作用だ。
おそらく3つのバフを使った私は、1週間はまともに動けないだろう。
だが、これだけでは即座に殺される事はなくなったが再生より早く追撃されたら死んでしまう。
目の前の化け物なら簡単にできるだろう。
次に王級スキル、傀儡の王
これは本来、自分と同ステータス、同スキルの分身を作り出して戦うスキルだ。
同格相手にはともかく格上にはまず通じない。
出せる分身も一体とはっきり言ってふつうに使えば役に立たない。
だが、このスキルのいいところはステータスを見た場合どちらも本物と変わらない様に表記される。
私は長距離転移は使えない。
使えるのは中距離転移までだ。
中距離転移で移動できるのはせいぜい50キロ。
だが、高速思考をかけた今の私なら、分身を作り出すと同時に本体を50キロ先まで逃す事ができる。
ヤツが分身と戦っている間に私は逃げる事ができるはず。
ここで部下を大量に失うのは痛手だが、命には変えられない。
最後の王級スキル、暗黒王
このスキルは私にとって1番付き合いが長いスキルだ。
あの頃の私はまだ、ただの天使だった。
だが、このスキルを得た時、種族が変異して堕天使と化した。
このスキルはまず、発動までに相当な時間がかかる。
先程からやっているが、まだ発動しない。
だが、発動さえしてしまえば確実に逃げ切れる。
ドーピングした分身と逃げ回る私が時間を稼いでいる間に発動すれば私の勝ちだ。
このスキルは発動すると、一定時間完全に不滅になる。
粉々に破壊されようと、一片も残さず消滅させられようと関係ない。
スキルの効果は分身にも使えるから、分身が倒されてもスキルさえ発動できれば、分身を再召喚して足止めしている最中に私は安全地帯まで逃げる事ができる。
とにかくこれさえ発動させれば生き残れる。
私は絶対に生き残る。
私は自分に言い聞かせた。




