第708話地球での戦利品2
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「さて…」
俺は残された一回り大きい真っ黒なビー玉に目を落とす。
コレアに続く2つのビー玉…コレトにコレルをそれぞれ一つずつ解放したが、最低限の黄泉の神しかかかっていなかった。
つまり最後の一個であるコレートル…
これには黄泉の神が集中していると考えられる。
しかもさっきまで餌にしてきたヤツらとは違い、コレートルは腐ってもアラウザルゴッド…
油断して負ける事はもはやないが、最悪逃げられる可能性はある。
集中して一気に決める。
俺はそんな事を思いながら最後のビー玉を握りつぶす。
割れたビー玉からコレートルを形作る…
既に千手観音モードは展開してある。
いつでもラッシュをかけられる状態だ。
「白天か…そうか…儂は死ぬのだな」
他のフォースアイの3体とは違い、コレートルには俺を見ても驚いた様子が一切ない。
「くくっ、死を悟ったか。潔いいいのは嫌いじゃねーぞ?」
俺の触手のラッシュがコレートルを引き裂く。
今の俺の神格エネルギーは単純計算でコレートルの7倍以上だ。
くるとわかっていたところでそう易々と躱したり防げたりするものではない。
俺にコレア達フォースアイとは比べものにならない程の神格エネルギーが流れ込む。
神格エネルギー差はさらに開く一方である。
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これで何回目だ?
まあ一応数えてはいるがな?
「えーっ…260と…」
俺の幾度目かわからない…いや260回目の触手がコレートルを引き裂く。
その時だ。
「あ?ストックが切れた?いくらなんでも早すぎねーか?」
俺の見立てでは最低でも千回は殺す必要があると思っていた。
ミグみたいに気の遠くなる様な数の黄泉の神をかけているヤツもいるぐらいだ。
まあ、アラウザルゴッドは一回神格エネルギーがひっくり返されると逆転は困難だからそこまでストックしてない可能性もなくはないが、それにしても少なすぎだ。
俺は慌てて鑑定を使う。
ん?王級スキルはまだある?
それもかなり大量に…
その数は合わせてそれこそ1000近い…
なら何故?
いや、残った王級スキルは既にロックされて使用不能になっている。
これはつまり…
「コレン…あとは頼んだ…」
…コレートルが最後にそう言って朽ち果てる直前、今度はステータスから黄泉の神が消滅した。
譲渡…
一度ミグが死んだ時、ミュラに黄泉の神が動いた事があったがそれか…
俺は何が起きたのかを全て理解した。
〜
場所は変わって遠く離れた宇宙…
「ファザー…コレト兄様…コレル姉様…そしてコレア…。皆、私の大切な家族…。コレンは…皆の想いしかと受け取りました」
そこには誰に告げるわけでもなく鈴の鳴るような声が響くのだった。




