第699話コレートル追撃戦(in地球)52
「その感じだと無理だね?まあできるとは思ってないけど?じゃー鬼怒ー。適当に弱らせといてね?」
言いながら喜鬼はどこからかガチな撮影キットを取り出す。
喜鬼のその遊びに対する本気度に鬼怒は呆れる。
〜約5分後〜
「概念、分譲、呪縛、支配、封印」
「おのれ…ファザーの…」
コレアがその言葉を最後まで言える事はなかった。
鬼怒の神格エネルギーを込めた概念の4連撃が完全に決まり、コレアの自由を完全に奪ったからである。
「ご苦労様ー。おかげでいい絵が撮れたよ?さあ次を探そうか?白天との交渉材料は多い方がいいしね?」
喜鬼はビー玉のようなサイズの赤い塊を指で弾きながら言った。
そのビー玉の正体は鬼怒に完全に封印されたコレアである。
「悪いが喜鬼。この方法だとワシでは封印できてあと1人が限界だぞ?もし3体目を封印しようものならワシの神格エネルギーの許容範囲を超えてコイツとこれから封印するもう1体の封印が破られる」
「なっさけないなー?だから神格エネルギー増やしとけって言ったじゃん?」
「それはオルメテウス様の意思に反する」
いくら立場が違うとはいえ、ここは鬼怒も譲れなかった。
「オルメスは優しすぎるんだよ。理想だけじゃ何も変わらないのに…。でも同時にそれがオルメスのいいところでもある。そんな優しいオルメスにつけ込んでオルメスをいいように利用しようとする存在を喜鬼ちゃんは絶対に許さない。皮肉だよね?オルメスと同じ時代に好き放題暴れ回っていた喜鬼ちゃんが未だにオリジンゴッドで、誰よりも優しいオルメスにイナゴの道が開けるなんてさ?」
「喜鬼…?」
「話が脱線しちゃったね?問題はそれだけ?」
いつもとは違った喜鬼の様子に鬼怒はそう問いかけた。
思えば今回のコレートルの一件でオルメテウス様が窮地に立たされてから喜鬼はたびたびこうなる。
だが、聞いたところで教えてはくれないだろうし、喜鬼と自分ではオルメテウス様と過ごしてきた時間が違いすぎる。
鬼怒はそう判断して話題を変えてきた喜鬼に答える。
「いや、問題はまだある。コレアの話だとコレンはどうやら裏切ったらしいが、コレト、コレルのフォースアイの2トップはコレートルについている。喜鬼。ワシとお前ではさすがにイナゴを相手にするのは不可能だ。ここは一度オルメテウス様と合流してから…」
言いかけた鬼怒の言葉は最後まで続かなかった。
何故なら突如、喜鬼を取り巻く空間に亀裂が入ったからである。
地球…制約の塊みたいなこの惑星で何をしたのか…
喜鬼が亀裂を入れたのは地球の制約そのものだった。
「何が不可能だって?悪いね…オルメス…今回ばかりは命令無視させてもらうよ?鬼怒。遥か昔…ラピロアが神帝と呼ばれていた頃…。偽りの神帝と呼ばれた喜鬼ちゃんの力の一部を見せてあげるよ?」
鬼怒はこの得体の知れない同僚にそこ知れぬ恐怖を抱くのだった。




