閑話カティアの里帰り2(総合3000p記念&PV300万記念)
「あー…ごめん。私が悪かった。槍を下ろして。たぶん今私が名乗っちゃうとそっちが処罰されちゃうから…中で話そ?ね?」
「訳のわからぬ輩を中に入れられるかっ!!名乗れないとはやましい事でもあるのか?そうだろう?」
残念ながら門番の男は聞き入ってくれなかった。
徐々に人が集まってくる。
このままでは警備兵まで飛んでくるだろう。
そうなってはめちゃくちゃだ。
カティアはそんな事を思いながら目の前の男を見る。
若い…
たぶんまだ100歳にも満たない年齢だろう。
つまり自分の姿を直接見たことはない。
既に異世界に転生してからかなりの時間…それこそ1000年以上の時が経過しているカティアは見た目でだいたいの年齢を当てることができていた。
魅了の魔眼を使うか?
使えば確実に中には入れるだろう。
ただこんな騒ぎを起こした後にすんなり門番が通したら、それはそれは不自然極まりない自体になるだろう。
仕方ない。
カティアは覚悟を決めた。
それはこの門番を自分の部下として雇う覚悟だ。
自分に槍を向けた門番など例え自分が許したとしても、真っ当に生きていける訳がない。
自分はそれだけの分不相応ともいえる権力を持ってしまったのだ。
諦めたカティアはここでマスクをとる。
「やはり見ないエルフ…ん?」
ここで門番は何か思い至ったのか財布を取り出す。
そして中から取り出したのは銅貨だ。
そして銅貨と私の顔を見比べていくうちに次第に真っ青になる。
何故なら銅貨は私の顔だからである。
「せっ星王カティア・ドーラス・イグロシアル様っ!?」
あんまりにあんまりな状況に最終的に門番はひっくり返った。
周りに集まってきた人だかりも今はみんな平伏している。
当たり前だ。
誰だってあのキチガイの側近中の側近に目なんかつけられたくない。
私は門番を軽々抱え上げて城としか表現できない実家に入る。
セルナース様と融合した私の力ならこの程度は造作もない。
普段は子供を抱えるのでやっとなのは秘密だ。
実家の中にも警備員達がいて門番を抱えている私を見つけると怪訝な顔つきになるが、私の顔を見ると即座に臣下の礼に変わる。
さて、ずっと門番を抱えたままなのもあれだしとりあえず母を探そう。
「ねえ?そこのあんた?ママはどこにいるかわかる?」
私は警備員と同じく平伏しているメイドさんに聞いた。
「ミっミティア様は今は最奥の執務室かと…?」
「そう。ありがと」
「とんでもございませんっ!!」
カティアは最奥の部屋を目指して門番を抱えながら歩くが、そこに辿りつく前に1人の少女が目に入る。
見た目は12〜3歳…
あ、そういえば10年ちょっと前に妹が生まれたって言ってたっけ?
カティアは少女に話しかけようとするがその前に…
「おい?怪しいヤツだな?新しいメイドか?フォティアに会ったら跪かないとダメなんだぞ?」
おそらく妹は尊大な口調でそう言った。
カティアはそれを見て頭が痛くなるのだった。




