第698話コレートル追撃戦(in地球)51
「ほんほん。連絡手段はあるけどコレートルの居場所は知らないと…?そんでコレンは裏切って行方不明かー。ぷぷっ、お前らなんか散々だね?喜鬼ちゃんが慰めてあげよーか?よしよし」
読心…
そして明らかに自分をバカにする喜鬼の口ぶりにコレアは頭に血がのぼるのをなんとか堪える。
ここで焦って攻撃しても勝てるわけがない。
相手は四情四鬼の喜鬼と鬼怒だ。
直接対決では自分は鬼哀どころか鬼楽にも勝てないだろう。
それよりも更に上位のこの2人など考えなくてもわかる。
守りに徹する…防戦一方でもいい。
だが、その前に…
「…頼む。慰めついでに見逃してくれないか?ファザーは受けた恩を忘れない。いずれはオルメテウス様のお役に立つはずだ。この通りだ」
言いながらコレアは全ての触手を地面に降ろして頭…単眼を下げるが、喜鬼は人差し指を顔の前に出すと横に振る。
「チッチッチッー。いずれ役に立つなら今たってもらわないとなー?そんな事したらオルメスはイナゴの王に消されちゃう。それともなーに?イナゴの王も両面も白天も全部まとめてコレートルはなんとかしてくれるのかなー?」
絶対に無理である。
白天陣営のみでさえあの様だ。
それに喜鬼の言葉で、元姉の鈴の鳴るような声で放たれた忌々しい最後の言葉がフラッシュバックする…
〜
「コレン姉上、お待ち下さい。ファザーを裏切るのですか?」
「ふふっ、裏切る?一家無理心中から離脱することを裏切るって言うならそうなるね?コレア。あなたも来る?ファザーは終わったけど悪食の血脈は永遠に…。それがわからないコレト兄様やコレル姉様にかける言葉はもうないよ。コレアあなたはどう?」
「…ファザーは終わってなどいません。そもそもファザーはこの事を知っているのですか?」
「知ってるよ。ファザーはあなた達より遥かに聡明だよ。自分が終わったって事はもう悟ってる。じゃなかったら私はとっくにファザーに吸収されている」
「コレン姉上…いや、コレンっ!!いくら貴様でもファザーに対する侮辱は許さんぞっ!?」
「どっちが侮辱してるかいずれわかる日がくるよ。あなた達がそんなんだからファザーは私にしか頼めなかったんだよ」
「え?なんだ?それは?」
「もう交わす言葉はない。生きてるといいね?」
その言葉を最後にコレンは姿を消した。
後でファザーに聞いてもファザーは何も教えてはくれなかった。
これに近いやりとりはコレト兄様とコレル姉様ともあったらしいが真相はコレンとファザー以外はわからなかった。
でも例えどんな理由があろうと、ファザーを見捨てて自分だけ逃げたあの女を自分は絶対に許さない。
コレアはその時思ったのだった。




