第694話コレートル追撃戦(in地球)47
兄ちゃんと姉ちゃんのイザコザを止めた後…
ようやく落ち着いて話せる雰囲気になる。
地球の姉ちゃんにもミュールゼルであった姉ちゃんの様に床下の300万円の話をする事になったが…
まあ他にも俺と姉ちゃんしか知らないであろうエピソードはあるが、たぶん1番簡単に話がつくのはこれだ。
例えば姉ちゃんが綿密にたてた旦那殺しの計画なんかは、完全に取り仕切っていたのは姉ちゃんで俺は要所要所の動き方を説明されたに過ぎない。
何回か問答を繰り返せば、これも俺が俺であることの証明に繋がるだろうが、床下の300万円の話が1番楽なのだ。
〜
兄ちゃんと姉ちゃんのイザコザを止めてから約10分後…
「それで?あたしも煌一といっしょにコレートルとかいうのを探せばいいのね?見返りは?あ、勘違いしないでね?別に見返りなんかなくてもやるわよ」
姉ちゃんは言った。
そーいや地球の姉ちゃんは俺の処刑を止められなかった事を負い目に感じていたな。
それにしても見返りか…
もちろんある。
姉ちゃんにとっては最高の見返りが…
俺は姉ちゃんの話を中断して、兄ちゃんの方に視線を送ると言う。
「姉ちゃんの見返りか…。兄ちゃんの見返りはイグロシアルに連れていくんだけどな…」
言いながら俺な姉ちゃんにアイコンタクトを送る。
その瞬間姉ちゃんは申し訳なさそうな表情になるが、これは完全に演技だ。
「ごめんなさい…あたしが悪かったわ…これまで鋭治にいろいろしてもらったのにその上でこんな事を言うなんて…」
「そうだぞ?莉緒那は鋭治に頼りすぎなんだよ?」
「…そうね…煌一の言う通り…」
兄ちゃんのその言葉に表情一つ変えなかったのは、さすが姉ちゃんと言うべきだろう。
本当に老化しているのかと疑いたくなるぐらいに…
とラグアはそう思っていたが、三島莉緒那が老化していなければそもそも見返りという言葉すら出てこない。
老化してない三島莉緒那はラグアが何も言わなくてもラグアの意図を完全にくみ取る。
さすが鋭治ね。
感謝しても仕切れないわ。
あたしの人生最大の汚点であるクソ兄貴をこの世界から連れ去ってくれるなんて…
これ以上の見返りなんて存在しない。
決して表情には出さずに三島莉緒那はそんな事を思いながら内心でほくそ笑むのだった。




