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第688話コレートル追撃戦(in地球)41


俺は顎に迫った兄ちゃんの蹴りをバックステップで距離をとる事で躱す。


今の蹴りの威力とスピードはリーゼの全力なんてもんじゃなかった。

軽く地球の一般人の20倍を超えていた…つまりはリーゼの倍以上である。


俺にバックステップで蹴りを躱された兄ちゃんは空中で一回転すると床に着地する。


ゴキゴキッ…


気持ち悪い音が兄ちゃんから鳴ると兄ちゃんは口を開く。


「あれを受け流すとかじゃなくて避けるかよ?さてはお前まだまだ全力じゃねーな?俺相手にそんな事できるようになるなんて鋭治…お前本当に強くなったな?嫌味とかじゃなくて純粋に尊敬するぞ?」


音の正体…

それは兄ちゃんが首と顎の関節を入れ直す音だ。


昔の俺なら兄ちゃんが何をしたのか全くわからなかったが、今の俺は常人の約300倍のステータスを持つ。

兄ちゃんが何をしたのかもわかった。


兄ちゃんはまず俺のストレートを首と顎の関節を外す事とさらに、体を棒状にすることで俺のストレートを受け流した。

そしてたった今俺が躱した蹴りは、受け流した威力プラス、兄ちゃん自身の縦回転の威力をのせて放ったものだった。


俺のストレートの威力プラス兄ちゃん自身の力…ならこの威力も頷けるが、そんな化け物じみた事を平然とやってのけるのは兄ちゃんだけである。


「兄ちゃんこそ昔は全然わからなかったが、改めてみるととんでもない動きしてるんだな…」


「くくっ、それがわかるだけでお前はすげーよ?普通のヤツ…いやそれこそ、最高峰の軍人や殺し屋でさえ何をされたかもわからないままに沈んでるんだからよ?」


兄ちゃんは笑いながら俺にそう言った。

兄ちゃんのその言葉には経験からくる重みがあった。

兄ちゃんの対人戦闘技術は人外の領域だ。

それこそ下手な銃があったところで勝負にすらならないだろう。


おそらく隠れるところが一切ない空間で四方八方を自動小銃で取り囲んで一斉射撃をするといった方法なら兄ちゃんを殺せるだろうが、そんな状況はまずこない。

正真正銘の化け物である。


なら化け物相手には化け物か…

面倒な説明をする手間も省けるしな?

それに受け流しを得意とする兄ちゃん相手にはこっちの方がいい。

本来なら兄ちゃんの身体能力も化け物だからそればかりにこだわっていられないが、俺の身体能力は兄ちゃん以上の化け物だ。


なら…

俺は身体中から無数の触手を伸ばして千手観音モードを展開する。


「兄ちゃん、俺も兄ちゃんとは違う意味…言うなれば本当の意味でもう人間をやめてる」


俺のその言葉に兄ちゃんははじめて目を見開く。


こうして人外兄弟喧嘩は決着を迎えようとしていた。

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