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第686話コレートル追撃戦(in地球)39


〜現在〜


俺はリーゼと兄ちゃんの間に割って入っている。


「誰だてめえ?」


兄ちゃんは俺をギロリと睨みつけると短くそう言った。


「兄ちゃん。それはひどいぞ?鋭治だよ。忘れた訳じゃねーよな?」


俺のその言葉に兄ちゃんは笑い出す。


「くくくっ、鋭治か。で、そのすげーガキがお前のガキと…。相変わらず鋭治はいい目をしてるな?好きだぜ?そうゆうのはよぉ?」


そう言った兄ちゃんは猛スピードで俺に飛び蹴りを繰り出す。

その動きはリーゼと戦っていた時の比ではない。


俺はそれを最小限の動きで躱す。


「…やっぱ信じらんねーか兄ちゃん?」


俺は思わずそう聞いた。

だが、兄ちゃんのニヤけた表情を見て合点がいった。

兄ちゃんはそうゆう人間だ。


「もちろん信じてるぜ?俺の可愛い弟の鋭治はあんなところで終わるようなヤツじゃねーよ。それに目が違う…すげーガキや莉緒那もなかなかだが、鋭治ほどのヤツには81年生きてきて、鋭治以外には会った事がねえ…」


兄ちゃんはそこで一度言葉を切る。

どうやら兄ちゃんは雰囲気?直感?

みたいなもので俺を俺だと判断したようだ。


「だが、それとお前に蹴りを入れて躱されたのは全く別の話だ。理由?そんなもんねーよ?俺はこれでも人を見る目はあるんだぜ?そんな俺がはじめて出会った本気で殺りにいっても返り討ちにあうかも知れない相手と殺り合わない理由なんか逆にねえだろ?なあ?鋭治?」


兄ちゃんは好戦的な笑みを浮かべながら言った。


殺人狂の俺と同じで兄ちゃんも狂っている。

そう兄ちゃんの場合は戦闘狂と殺人狂の融合だ。


俺の前世の記憶…三島鋭治の記憶だと兄ちゃんが喧嘩や殺し合いに負けたのは見た事がない。


しかも俺と違って兄ちゃんは様々な格闘技等をかじったりはしていない。

いや、これは説明が悪いな。

兄ちゃんの動きは完全な我流というか、控えめに言って人間の動きじゃない。

その動きの秘密は兄ちゃんの痛覚が麻痺している事や、異常とも言える生命力や、全身の関節を自由に外せる事もあるだろうが、1番は兄ちゃんの天性の才能だろう。

そんな兄ちゃんは俺と違って格闘技等…人間の為に作られた技なんか覚える必要などなかった。


もちろん前世の俺の技術なんかじゃ、兄ちゃんの足元にも及ばないどころか瞬殺だろう。


「鋭治?久しぶりだな?兄弟喧嘩なんていつ以来だ?なあ?」


そんな事を思い出す俺に兄ちゃんは心底楽しそうに言ったのだった。

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