第684話コレートル追撃戦(in地球)37
「概念、原理」
壁から出たリーゼは床を踏み切ると真っ直ぐ三島煌一に向かう。
直線的なリーゼの動きに合わせて拳打を打ち出す三島煌一だったが、原理の概念でリーゼは空中で巧みに軌道を変えると三島煌一の真後ろ周り込み、三島煌一の腰目掛けて蹴りを繰り出す。
だが…
三島煌一はまるで後ろに目があるかのように空中で一回転…サマーサルトを決めると真後ろにいるリーゼに蹴りを叩き込む。
10倍のステータスでなんとかその場で耐えたリーゼだったが両足が10センチ程床にめり込む。
ジジイ…それ以前に人間のくせになんて身体能力…
これに比べたら先程相手したフロゲニなど赤子も同然である。
「すげーガキだな?殺す気でやって2発も受けられたのは初めてだぞ?」
蹴った衝撃を利用して空中で体を捻って着地した三島煌一は言った。
だが、対するリーゼは逆に落ち着きを取り戻す。
それはとある決心が固まったからだ。
「さすがはパパの兄って事か…できれば無傷で制圧したかったけどこれは無理だね。ごめんだけど、多少の火傷は覚悟してね?概念、炎舞」
その瞬間、リーゼは体に炎を纏うが…次の瞬間には消え失せた。
「…概念、消失。…お前ら3人は留守番もできねーのかよ?」
突如、リーゼと三島煌一の間に現れた真っ白な髪と真っ赤な瞳を持つ美少年は呆れた様子で言ったのだった。
〜
時は少し遡る。
俺は鷹宮の事務所に転移した。
「あ、ご苦労様です。鋭治さん早かったですね」
鷹宮がそんな事を言いながら出迎える。
ヤクザの場合、お疲れ様とご苦労様のどちらを目上の人間相手に使うかの基準が真逆だ。
「「ご苦労様ですっ!!」」
リーゼ達にぶちのめされた鷹宮の子分達も俺に頭を下げる。
俺はそんな連中に対して軽く手をあげると奥へ進む。
奥の部屋はリーゼやエリス…俺の仲間がいるはずだった。
「ラグア様、お疲れ様です。ご報告がございます」
奥の部屋で俺に跪いたエリスはもちろんヤクザではないので、お疲れ様だ。
俺は部屋を見渡す。
机の上に無造作に置かれた札束や硬貨…
そして部屋にはエリス以外誰もいない。
「それはリーゼやカティア達がいねー事と関係あるか?」
「はっ、カティア様はラグア様が外出なされた直後にシュドレを伴って外出…。リーゼ様はカティア様達がこの惑星のリオーナ様に接触したのを見計らって先程外出なされました」
「は?」
そんなエリスの報告に俺はおそらく間抜けな顔で言ったのだった。




