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第680話コレートル追撃戦(in地球)33


「親父失礼します。鋭治さんをお連れしました」


おそらく応接室…その部屋の前で先程の若い男は止まると扉に向かって言った。


「おう。入ってもらえ」


中から年齢を感じる声…しかし同時に威厳を感じるその声は決して弱っている様子はない。

とても実年齢77歳とは思えない。


若い男が扉を開ける。


「おう。鋭ちゃん。久し…お?本当に鋭ちゃんか?」


開口一番、痩せてはいるが恐ろしい程に目をギラつかせた老人…本郷龍二は言った。


「あ?なんだよ龍君?久々だってのに疑うのかよ。俺を忘れちまったのか?」


俺は若干不機嫌そうにそう言った。


その瞬間、本郷龍二は笑い出す。


「ははっ、その話し方と雰囲気…まぢで鋭ちゃんかよ?鷹宮から聞いてはいたんだが半信半疑でよ?何十年ぶりだ?昔のままじゃねーか?」


「龍君こそ変わんねーな?だいぶ出世したみたいだけど?」


「全部兄貴…お前の兄ちゃんのおかげだよ。未だに俺はあの人の足元にも及ばねーよ」


そう言った龍君だったが俺が知っている龍君は腕っ節、商才、頭脳ともに兄ちゃんの片腕と言ってもいい実力者だった。


その後しばらく俺は龍君と世間話をする。




話がひと段落した時だ。


龍君は胸ポケットからパーラメントを取り出して火をつけると真面目な顔になって言う。


「それで本題だが、鋭ちゃんは何しに来たんだ?こうして俺と世間話する為に来たんならゆっくりくつろいでていいけどよ?」


「まあちょっと聞きたい事があってな?兄ちゃんに会いたいんだが、いつ帰ってくる?それから兄ちゃんは何をしようとしてる?」


俺は言った。


ピクッ…

龍君の眉が若干動いた。

普段は気さくな龍君だが、時折見せるヤクザの顔…


「兄貴の目的か…そいつはいくら鋭ちゃんでも言えねーな?なんだったら兄貴から直接聞くといい」


最初のその言葉で読心を発動しようとした俺の手が止まる。


「あ?兄ちゃんは日本にいるのか?イタリアじゃなくて?」


俺のその言葉に龍君は溜息をつく。


「相変わらず鷹宮のバカは口が軽いな。そんなんだからアイツの組は未だに直参に昇格できねーんだよ…。まあいいか。兄貴は今日本にいる。まあ予想はしてたが莉緒ちゃんが逃げたからな?とんぼ返りして今頃は莉緒ちゃんを探してると思うぞ?」


龍君は言った。


ちなみに直参というのはヤクザの一次団体のことである。

本部の組長は一次団体…直参の組長の中から選ばれる。


「姉ちゃんが逃げた?まあ…そりゃそうか…」


俺は龍君の説明に納得がいきそう呟いた。

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