第677話コレートル追撃戦(in地球)30
「あんた…」
「いいよ。説明するのダルいからリーゼの頭見せてあげるよ。概念、共鳴」
「ぐあああぁぁぁ!?」
何かを言いかけた三島莉緒那だが、リーゼが概念を発動させるとその苦痛に絶叫した。
リーゼの頭…常人では理解できない程の思考力と知識を合わせもつ…
それをほんの一部とはいえ共鳴するのは老化した三島莉緒那の頭脳に大きな負担をかけた。
〜
「はあっはあっ…異世界?鋭治の子?」
三島莉緒那は息を切らしながら言った。
マスクごしでは尚更息が苦しいのでマスクを外す。
さすがに室内の催涙ガスも散っているはずだ。
リーゼとの記憶の共有はいかに見た目だけは取り繕っているとはいえ、76歳の老婆にはかなりの負担であった。
だが、その結果三島莉緒那はリーゼの記憶の一部を共有することとなる。
「そうゆう事。わかってくれた?」
「そんなの信じられるわけないでしょっ!!」
パァンッパァンッ…
三島莉緒那のその言葉と共に放たれたのは、2発のデリンジャーの弾丸だった。
だが…
「概念、念動…。シュドレのステータスじゃ大した事はできなかったけど、リーゼが使えばこれぐらいはできるんだよ?」
デリンジャーから放たれた2発の弾丸はリーゼに当たる10センチほど手前で静止している。
いや、正確には静止はしていない。
弾丸は回転自体は続けているが、リーゼに届く10センチほど手前から一向に進まず、空中で虚しい回転を繰り返している。
「完全に止めてもよかったけど、こっちの方が面白いでしょ?見て?こうするとさ?」
リーゼがそう言った瞬間、デリンジャーの弾丸2発は恐ろしい勢いで逆回転をはじめると真っ直ぐ三島莉緒那に向かって…起動修正された弾丸は真っ直ぐ三島莉緒那の両目の眼球目掛けて飛んでいく。
しかしそのあとに部屋に響いた音は三島莉緒那の頭部が撃ち抜かれる音でも、断末魔の叫び声でもなかった。
リーゼの舌打ちの音である。
弾丸は三島莉緒那の眼球の寸前…僅か5ミリのところで今度は完全に静止している。
「…可愛くないなー…瞬きすらしないなんてさー?やっぱり腐ってもリオ姉はリオ姉ってことか…」
「…自分から頭の中を見せといて何言ってるのよ?いくら今のあたしがボケ老人でもそれぐらいの行動予測はできるわよ?」
不満そうに呟いたリーゼに三島莉緒那は言ったのだった。




