第668話コレートル追撃戦(in地球)21
カティアとシュドレを乗せた高級車…リムジンはしばらく走ってから止まる。
現在、カティア達の目の前には絵に描いたような大豪邸が広がっている。
『これが前世のリオーナの家かよ…ふざけてるな…』
『今も大して変わらないってかそれ以上でしょ。なんてったって特別星帝様なんだからさ?』
神通を使ってきたシュドレに対しカティアは答えた。
「さあ、中へ。澪さんがお待ちです」
カティアとシュドレは男に案内されるがままに1つの部屋の前に辿りついた。
その部屋の警備は恐ろしい程に厳重だった。
指紋認証、眼球認証…さらには声帯認証…
それはこの先にいる人物がこの大豪邸の最重要人物である事を示していた。
部屋の入口…重厚な扉の隣のモニターの電源がつく。
「澪さん、例の2人をお連れ致しました」
男はモニターに向かって言った。
「木島。ご苦労様。2人を中にお連れしたらあんたは退がっていいわ」
「しかし…そういう訳にはせめて誰か護衛を…」
「ダメ。命令よ」
難色を示す木島にモニターの人物…おそらく三島莉緒那はピシャリと言い放つ。
何故おそらくなのかは、モニターには何者の姿も映っておらず、声だけがこちらに届いているからだ。
「…かしこまりました」
木島は渋々と言った様子でそう返事をした。
「心配しなくても何かあったり、もしくは必要があれば呼ぶわよ。さあ、2人を中にお連れして」
その言葉で重厚な扉が横にスライドして開く。
木島に促されるままに、カティアとシュドレは部屋の中に入る。
木島本人は中には入らずに、扉の前に立つ。
2人が入室すると、後ろで扉は再び閉まった。
その後、ガチャガチャといくつものロックがかかる音がする。
カティアとシュドレの前には立派な玄関…そして今度は高級感漂うが、警備システムのない木製の扉がある。
「ようこそ。可愛いお2人さん。入っていいわよ?」
スピーカーは見当たらないが、部屋のどこかから声がした。
おそらくこの玄関のインテリアのどれかがスピーカーの役割を兼ねているのだろう。
しかもこの口ぶりを聞く限りカメラもあるようだ。
「いくよ。悠斗君」
「ああ」
カティアとシュドレの2人は意を決して木製扉を開けるのだった。




