第665話コレートル追撃戦(in地球)18
シュドレはこの時の事をあとで後悔した。
どうしてあの時、神通ではなく、口に出してしまったのか…
三島莉緒那は綺麗な見た目とは裏腹に、どう考えてもヤバイヤツだ。
決して本人を前に聞こえる距離ではないとは言え、不用意にそんな名前など呼んでいいはずがなかった。
カティアはこの時の事をあとで後悔した。
どうしてあの時、神通ではなく、口に出してしまったのか…
三島莉緒那は綺麗なのは見た目だけで、その頭脳は化け物だし、残虐さと冷酷さはラグア以上の完全に狂った恐怖の対象…
決して本人を前に聞こえる距離ではないとは言え、不用意に関係者以外知るはずのない情報を口にしていいはずがなかった。
〜
シュドレ…そしてカティアの致命的ともいえるミス…
その結果は現在の状況である。
「すいません…お綺麗なお二人ですね?私はちょっとした芸能事務所の者なんですけど、今って少しお時間あります?お二人ほどのルックスならすぐにウチの事務所の看板になれると思いますよ?」
見た目は優しそうな男が人好きのする笑みを浮かべながらカティア達に話しかけてきたのだ。
カティアは確信した。
あの時リオーナ…三島莉緒那はこちらに気づいた。
正直こうなるまでは確信はもてなかった。
何故ならそのあと三島莉緒那のした行動は歩きながら数秒間上着のポケットに手を入れただけだからだ。
それから僅か3分でこの状況である。
もちろん上着のポケットの中には超小型の送信機が入っていて三島莉緒那がモールス信号により、周辺の部下達に命令を出していたのまではカティアは気付けなかったが…
「すいません。私達これから用事があって…」
カティアは少し顔色を悪くしながらそう答えた。
既に読心は使っている。
そこから得た情報から既に自分達は多数の三島莉緒那の手下に囲まれていること…
更にはこの男の目的が自分達を拉致する事だということも判明していた。
「いや、特に用事は…」
『シュドレっ!!読心っ!!』
未だに事態の深刻さが理解できていないシュドレにカティアは神通を使って言った。
その瞬間、シュドレの顔も真っ青になる。
「すいません。俺達は少し行くところが…」
シュドレが言い終わらないうちに男は言う。
「まあそう言わずに一緒に来てくれません?私達もこんなところで明日の新聞の話題になるような事件を起こしたくないんですよ。ねえ?」
どうやらあからさまな私達の態度は男には筒抜けだったらしい…
男は人好きのする笑み…だが目は全く笑ってない様子でそう言ったのだった。




