第660話コレートル追撃戦(in地球)13
「親父っ!!早く安全なところへっ!!」
「いてまえーっ!!」
事務所の奥からはそんな声が聞こえる。
その直後、ドス…脇差に近い刀を持った男が襲ってくるが、すぐにリーゼの拳が腹に刺さり意識を刈り取られる。
「うーん、スキルが使えないからめんどくさいなー。概念だと殺しちゃう可能性が高いし…」
リーゼは誰に言うでもなくそう呟いた。
俺はさらに歩を進める。
〜
〜数十秒後〜
俺達は現在最奥の部屋にいる。
あの後さらに拳銃と日本刀を持った3人に襲われたが、撃たせる前にエリスとリーゼが無力化した。
現在、俺達の前には2人の男がいる。
片方は見た目年齢だと50前後…
もう片方は40代前半ってところだろう。
たしか鷹宮とあったのは鷹宮が19で俺が26の時が最後だ。
50前後の方が鷹宮だろう。
それになんとなく面影もあるしな?
「てめえらどこの鉄砲玉だっ!!ここをどこだと…」
「うるさいよ。パパはお前には用はないってさ?」
がなり立てる40代前半の男の顎に跳躍したリーゼの飛び蹴りがヒットする。
男はそのまま吹き飛び、真後ろにあったテレビをなぎ倒して昏倒する。
鷹宮の表情が驚愕に染まる。
大の男が年端もいかない幼女の飛び蹴りで一瞬で沈んだのだ。
しかも付け加えるなら、男は若頭…つまりは鷹宮の子分の中ではトップ…しかも過去に空手で全国ベスト8になった経歴を持つ。
それが…
だが、鷹宮はすぐに表情を取り繕う。
「貴様ら…ただで済むと思うなよ?俺を誰だと思ってる?俺をその辺の極道といっしょにするなよ?俺は三島煌一の舎弟だぞ?この意味わかるよなぁ?」
ピリッ…
腐ってもヤクザか。
放たれる殺気は本物だ。
あの鷹宮がねえ…
俺も殺気を全開にする。
「たかみーよお?てめえ誰に口聞いてんだ?久しぶり過ぎて俺の事忘れたか?なあ?」
ビクッ
鷹宮の体が一瞬震える。
「いや…嘘だ…ありえない…だって姿は似ても似つかないし…そもそもあの人は死んだはずだし…」
俺に気づいたか?
それとも俺に俺を重ねているのかわからんが、鷹宮はビビって口調も昔に戻っている。
あと一押しだな。
「たかみー。昔下手こいたお前のミスを誰が消してやったと思ってんだ?お前もネズミの餌にしてやるか?なあ?」
「鋭治さんっ!?」
鷹宮は悲鳴に近い声で俺の名前を呼んだのだった。




