第658話コレートル追撃戦(in地球)11
スタンガンが俺を襲う。
まあ効きやしねーけど…
俺は周りを見渡す。
野崎と俺をスタンガンで襲ったヤツの他に3人…
完全に俺達を逃がさない位置に陣取っている。
「ゴミ共が…ラグア様、排除します」
「待て」
エリスが動こうとするのを俺は止める。
コイツらは兄ちゃんに繋がる情報源だ。
殺したくはない。
「おいっ!!浩二っ!!てめえしくってんじゃねーよっ!!」
スタンガンを俺に当てた男に怒鳴り散らしながら別の男が鉄パイプで俺の頭をぶん殴る。
ガキンッ…
金属音が響き俺の頭に鉄パイプが直撃するが、当然鉄パイプは弾き返される。
「化け物…」
カラン…
あまりにあまりな有様を見て俺をぶん殴った男は鉄パイプを落としてその場にへたりこむ。
対する俺は全くの無傷だ。
オルメテウスの説明に間違いはなかったようだ。
〜
悪夢だ…
野崎は思った。
この目立つ集団を見つけたのはついさっきだ。
昨日店に置いてきた車の鍵を取りに今日はたまたま店に立ち寄った時だ。
白い長髪の小柄な男が1人に同じ髪色のガキが1人…
それに少し彫りが深い男が1人…
外国人の女に、ヘッドホンをした女…女は2人共上玉…
いや、今はそんな事はいい。
問題はどこから出てきたからかだ。
ヤツらは俺の店から出てきたのだ。
野崎はすぐに動かせる人間に電話をかけ、数の暴力でこのおかしな集団を拉致するつもりだった。
〜
結果はこの様である。
「リーゼ。それぐらいにしとけ。加減してるだろうがやり過ぎると死んじまうぞ?お前もよく知ってるだろうが人間って簡単に死ぬからな?」
「うんパパ。わかってるって」
「化け物…」
思わず野崎はそう呟いた。
ほんの一瞬だった。
ほんの一瞬の間に自分以外の4人は子供…それも幼女と呼べる程度の存在にのされてしまった。
なんだコイツらは…
野崎の頭の中は得体の知れない恐怖が支配していた。
「で?鷹宮…いや、たかみーのとこのヤツだったか?気が変わった。事務所には行ってやるよ?さっさと案内しろ」
白い長髪の男は完全にこちらをナメた態度で言った。
だが、ここで野崎の中で恐怖心以上の感情が生まれた。
数を揃えて囲めば惨敗…
あげくに親をバカにされた上に一矢報いる事もできずに相手言うままに事務所まで案内する?
そんなのは極道じゃねえっ!!
ふざけんなっ!!
こちとら極道なんだよっ!!
そう考えた野崎は懐に手を入れる。
それをそのまま引き抜き、引き金を引いた。
パァンッ!!パァン!!パァン!!
銃声が街中に響き渡るが…
「ほう。300倍の恩恵ってやべーな。至近距離のトガレフの弾を平手で叩き落とせるとか」
白い長髪の男はありえない事をいいながら、野崎の前に無傷で立っていたのだった。




