第656話コレートル追撃戦(in地球)9
「申し訳ございませんっ!!」
コンビニからの帰り道、シュドレはリーゼに土下座している…
5歳の幼女に土下座している青年…
とんでもなくシュールな光景である。
「まあ、リーゼの演技にのったまではよかったけどちょっとやりすぎだよねー?リーゼの頭はパパにも数える程しか撫でられた事ないのにさー?」
軽い殺気…
見た目は5歳の幼女だが、そんな見た目に似合わない恐ろしいものがリーゼからは漏れ出ていた。
あの後、突然の無茶振りでリーゼに話を振られたシュドレは若干パニックになりながらもリーゼと兄妹の演技を努めようとした。
結果は現在の状況だ。
「…大変申し訳ございませんでした」
リーゼ相手にこんな事をすれば、もしこれがイグロシアルだった侮辱罪で八つ裂きものである。
「まあ、リーゼも咄嗟にやったから仕方ないかもしれないけどさ。今回は目を瞑るよ。次からは気をつけてね?」
「ありがとうございますっ!!以後気をつけますっ!!」
「はいはい。話は終わり。顔あげて?」
意趣返しとばかりに今度は土下座しているシュドレの頭をリーゼはぽんぽん叩く。
ちなみにこんなやりとりを街中でしている為か、通行人はリーゼとシュドレのやりとりを立ち止まって凝視している。
「ほら、目立っちゃうでしょ?パパの所に帰るよ?」
リーゼはそう言ってシュドレを立たせるのだった。
〜
「ただいまー」
「ただいま戻りました」
シュドレとリーゼが出て行ってから30分程で2人は戻ってくる。
シュドレは大量の新聞や雑誌を抱えている。
「よお、無事に買い物できたみたいだな。とりあえず情報収集だな。カティア、シュドレ。お前らも手伝え」
俺は言いながらシュドレから一冊の新聞を受け取る。
日本語が読めるこいつらにも手伝わせた方が効率はいい。
「リーゼも手伝うよ。てかこれは報告なんだけど、通貨が変わってたみたいだよ?はいお釣り」
リーゼから渡されたのは見たこともない紙幣と変わった小銭…いや、正確には歴史上の人物だからなんとなく見たことはあるが、まともに勉強してない俺はそいつの名前を知らない。
小銭の方も普通にデザインが変わっている…
「そうか。なら若干目立っちまったみたいだな。まあいい。とりあえずヤクザ記事と企業、芸能、政財関係の記事を見つけたら全部俺に見せろ。てかリーゼ?お前字読めるのか?」
「任せてよ。さっき覚えたばっかだけど簡単なのならもう大丈夫だよ」
シュドレの知識から得た情報で日本語が全て理解できたとはリーゼも思っていない。
「ほう。さすがだな。まあお前なら不思議じゃねーか」
俺達は新聞雑誌に目を通すのだった。




