第654話コレートル追撃戦(in地球)7
俺達は再び転移する。
そこにはカウンターやテーブルが並んでおり、前日は遅くまで営業していたのだろう…
出しっ放しのグラスや酒瓶がテーブルやカウンターに並んでいた。
「新宿、歌舞伎町にある兄ちゃんの系列のキャバクラだ。32年経ってもあるかどうかは不安だったがどうやら問題はなかったみたいだな。ここは少なくとも昼間は誰もいねーからな?」
頭に疑問符を浮かべるカティアとシュドレに説明する様に俺は言った。
えーっと俺が死んで32年だと姉ちゃんは76歳…兄ちゃんは81歳か…
2人ともいい年だな。
まあいい。
とりあえずは…
「リーゼ。とりあえずコンビニで新聞買ってこい。金は…発動、神級スキル、万物の神……あ、ダメか…」
俺はついいつもの癖で万物の神で金を作ろうとするが、当然発動しない。
え?そもそも犯罪だって?
そんなもん知るか。
「なら…、概念、創造」
俺はそう言いながら創造の概念を発動させる。
今度は成功する。
俺の手の中には帯付きの福沢さんが100人程作られた。
俺はその内の一枚をリーゼに渡す。
「パパ?コンビニってノーマンがイグロシアル…さらにその他星帝管理下の惑星中作ったアレの事?無人島や活火山の山頂付近にもある、あの儲け度外視のアレの事?」
うん、その赤字を誰が負担しているかをあの娯楽狂いにはわからせてやる必要があるようだ。
「…半分正解だな。コンビニは地球の知識を参考に作った。ちなみに地球にはイグロシアルみたいな、儲け度外視の頭のおかしい場所に建てたコンビニはないぞ?それからそれはこの星の通貨だ。まあとりあえず買ってこいよ。情報が欲しい。たぶんだいぶ余るだろうから適当に情報源になりそうな雑誌とかも買ってこいよ?それからシュドレ。リーゼといっしょに行って選んでやれ」
「うん」
「はっ」
リーゼとシュドレはそれぞれそう返事をして出て行った。
〜
ピンポーン
リーゼとシュドレは2人揃ってコンビニに入店する。
「ねえ、シュドレ。これなんて書いてあるの?」
「はっ、リーゼ様。読◯新聞ですね。全国版なので情報収集にはうってつけかと…。買いましょう」
リーゼの質問にシュドレは答えた。
「ふうん…これがこの世界の字ってこと?他の新聞は?」
「いえ、これは日本という国…つまりはラグア様が生まれた国の字ですね。この惑星にはスキルなどはありませんので言葉と文字は…」
シュドレがそこまで言いかけた時だ。
リーゼの赤と青のオッドアイの瞳が真っ直ぐシュドレを見つめる。
「あの…リーゼ様?」
話かけてもリーゼは何も答えずにシュドレを見つめる。
何をしてるのだろう…
シュドレはそんな事を考える。
〜数十秒後〜
「オッケー。だいぶ覚えたよ。違和感はない?シュドレ?」
その瞬間、シュドレの表情は驚愕に染まる。
何故ならリーゼの口から出たのは流暢な日本語だったからだ。




