閑話とあるエルフのお話
今、帰ってきて一話仕上げました。
これで、寝ます。
皆さんおやすみなさい。
私、村田彩香はどこにでもいる、少しメンヘラ気味の22歳のOLである。
ある日、私は高校から6年付き合った、彼氏に彼氏に突然別れを告げられた。
正直ショックだった。
私は生まれてはじめて風呂場で手首切った。
リストカットである。
本当は、死ぬつもりなんて全然なかった。
私が思い詰めているのを知った、彼氏と寄りを戻すためにやっただけだ。
ただ、リストカット自体がはじめてで少し深く切りすぎてしまった事と、風呂で血行がよくなっていたせいだろう。
私は予想以上の出血で動転してしまった。
手首から噴水の様に吹き上げる、血液。
それを最後に私の意識は暗くなっていった。
〜〜〜
気がついた私を待っていたのは、森神セルナースと言う神様で、私を異世界に転生させてくれるらしい。
現代の生活に慣れていた私は不安だったが、死んでしまったものは仕方がない。
そもそも自業自得だ。
私は、森神セルナースの提案を受け入れた。
〜〜〜
私は、リース森林国と言うエルフの国で、エルフの中流家庭に生まれた。
私はエルフなど、彼氏に昔、少し借してもらったゲームの中でしか知らなかった。
それも、3日で飽きてすぐに返してしまったので、私の知識は乏しかった。
森神セルナースから私がもらった固有スキルは、魔眼level1。
静止、魅了、即死、石化、沈黙の5種類を使える、有能なスキルだ。
他にも候補はあったが、私は魅了の能力に惹かれ、このスキルを選択した。
もう二度とあんな思いはゴメンだ。
試しに、生まれてすぐに、両親に魅了の魔眼を使ってみたが、レベルが低すぎて使いものにならなかった。
〜〜〜
私は2歳になった。
この世界の両親は私にカティアと言う名前をつけてくれた。
この頃には、両親は私の事を溺愛していた。
魔眼のレベルが10になり、寝ている時以外は、魅了の魔眼をかけ続ける事を続けたためだろう。
魔眼は、レベルが上がる事に少しずつ格上にも通用する様になっていった。
セルナース様の話では、魅了の魔眼は5種類の魔眼の中でも、致命的なステータス差がない限り、成功率は非常に高いらしい。
ちなみに、即死の魔眼は、格下でも成功率5割ぐらいらしい。
致命的なステータス差があるか、魔眼がかなりの高レベルなら、成功率は高まるらしいが、使った事がないのでわからない。
なぜ、急にセルナース様と敬称をつけたのかに対しては、私なりの感謝だ。
馬鹿で自業自得な私を転生させてくれたばかりか、こんな素晴らしい力までいただいたのだ。
敬称をつけて当然だろう。
両親には、騙しているようで悪いが、私は愛されたいのだ。
絶対にもう二度とあんな思いをしたくはない。
信じていた相手に裏切られるなど、絶対に嫌だ。
〜〜〜
私は7歳になった。
この頃には、私は同年代の中では、アイドル的な存在になっていた。
常に取り巻きを従え、私の思い通りにならない事は、ほとんどなかった。
たまに、自分の行いに自己嫌悪に陥る事もあるが、私はこの力で他人にひどい事をした事は一度もない。
一応の筋は通っていると自分の中で解決する。
〜〜〜
現在
私は10歳になった。
魔眼のレベルは23になり、私ははっきり言って私は順風満帆な生活を送っている。
同年代の子供達は、毎日私の気をひくために、様々な事をしてくれる。
ちなみに、同性からの嫉妬とかやっかみも私には、無縁だ。
魅了の魔眼は同性にも通用する。
前にセルナース様が他の転生者と殺し合う可能性があると言っていたが、私は大して心配していなかった。
転生者にも魅了の魔眼は通用するだろうし、私が仲良くなれない理由はない。
将来は、どうせなら話の合う転生者と結婚するのも、いいかもしれない。
私はそんな風に考えていた。
セルナース様の神託の力で私には、ステータスが見える。
普通は鑑定系のスキルを持っていないと見えないらしいし、格上のステータスは見えない事も多いらしいが、私には関係ない。
突如、国中が騒がしくなった。
どうやら、魔王の一体がやってきたらしい。
しかもその魔王は、これまでいくつもの国を地図から消してきた、血も涙もない化け物らしい。
死にたくない。
私は本気でそう思った。
私の祈りが通じたのかどうかはわからないが、どうやらその魔王はリース森林国を滅ぼしにきたわけではないらしい。
一応は同盟を結ぶと言う建前できたらしい。
リース森林国の上層部は、その魔王を国賓として迎えるらしい。
当たり前だ。
扱いを間違えれば、国が消される危険人物。
そんなヤバイヤツと戦うような、バカな国でなくて本当によかった。
リース森林国はその名の通り、森林が多い国だが、商業地区だってある。
今、商業地区にその魔王がきているらしい。
私は、とりあえず命の心配がなくなった安心感のためか、好奇心を抑えられなくなったためか、その魔王を一目見てみたくなった。
さっそく取り巻きを引き連れて、商業地区に行ってみる。
いた。
だが私は見た瞬間、ここに来た事を後悔した。
インフレかと言いたくなるようなキチガイの様なステータス。
王級スキル、帝級スキルと言った、みるからにヤバそうなスキルの数々。
1つ1つ効果を調べてみると改めてそのヤバさがわかる。
惑星壊せるとかヤバすぎでしょ。
絶対に逆らってはいけない存在。
あれには、私の魅了など絶対に通じない。
そして、称号の1番上に見える転生者の文字。
確かに、私は他の転生者とは仲良くなれると今日まで思っていた。
だが、全身から放つ禍々しいオーラ、抑えているようだが、漏れ出ている殺気、何より、人の命をなんとも思っていないようなあの目。
ヤバイっ私の膝は完全に笑っていた。
あっヤバイっ目が合った。
と思ったらもう遅かった。
魔王は既に私の目の前にいた。
全く見えなかった。
私は力無く膝から倒れこんだ。
もう終わりだ。
短い人生だったな。
私は死を覚悟した。




