第643話白天の宴2
白天の娘…
要はコレートル様のフォースアイみたいな立場って事か。
テリーローグはそう解釈した。
「さて、パパが来るのはもうちょっと後なんだけど、その前に聞いとこうかな?お前らはパパの敵?それとも味方?」
リーゼは赤と青のオッドアイを怪しく光らせながら言った。
テリーローグがリーゼの問いに答えようとした時だ。
テリーローグよりも先に答えるものがいた。
「愚問でございます。リーゼ様。強者にお仕えするのは私…いえ、私達の至福の極みにございます。あ、申し遅れました。私はネーシアと申します。どうかお見知りおきを…」
ネーシアは跪いた体勢のまま言った。
「僕も偉大なる白天様に仕える事ができるなら、この上なく幸せにございます。僕はテリーローグと申します。頭の片隅にでも覚えていただけたら嬉しいです」
テリーローグもネーシアに遅れながら同調した。
それを皮切りに次々に同調の声があがる。
リーゼはそんな面々を見渡す。
もちろんただ見ている訳ではない。
読心…それに感情を読む力の併用で彼らの思考を読みといているのだ。
「へぇ…全員本心か。強者のみに従う。ある意味清々しい精神だね」
だが、それはラグア以上の強者が現れればそちらになびく事を意味する。
もちろんパパが健在な限りあからさまな裏切りはないだろうけど、それも絶対じゃない。
まあ信用しすぎるのはよくないね。
リーゼは思った。
その時だ。
1人の人物がリーゼの後ろから入室してくる。
身に纏う気配はかつてのコレートルに匹敵する…
これが白天だ。
身に纏う邪悪なオーラは他の者を震え上がらせる。
白天は男だと聞いていたが、見た目の容姿は女だ。
だが、招待者達に見た目など関係ない。
その圧倒的な力は目の前にいる幼女を遥かに凌ぐ…
大広間にいるメンバーは確信した。
ただ1人を除いて…
「エリローズ。何しにきたの?今日はパパとリーゼだけでやるって言わなかったかな?」
リーゼはその人物…エリローズに対して若干不満そうに言った。
「いえ、暇でしたので。ここのところのラグア様は新技の開発だとか言って、あまり私の事を構ってくれませんし…せっかく久しぶりに戻ってきたのに…ウサギは寂しいと死んじゃうんですよ?」
「たぶんそのギャグ、リーゼ以外は2つの意味で誰もわかってないと思うから…回れ右っ!!」
2つの意味のもう一つ…
真っ赤な瞳に真っ白な髪…
ウサギを彷彿させるとでも本人は言いたいのだろうが、そんな事はもちろんリーゼ以外は誰もわかっていなかった。
「そうゆうわけにはいきませんよ。私にはやる事が…」
エリローズはそう言いかけて指をパチンと鳴らす。
その瞬間、再び扉が開かれる。
だが、前の二回と大きく違うことがある。
何故かBGMがかかっている事だ。
そう何故か。
「おいっ!!誰がダー◯ベーダー流せって言ったっ!?こんなアホな事するのは1人しかいねーよなっ!?あ?こらっ!!」
エリローズ同様の真っ赤な瞳と真っ白な髪…
その人物は入るなりそれだけで殺せそうな程の強烈な殺気を撒き散らしながら怒鳴り散らすのだった。




