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第635話対悪食戦線61


「本物のラグアか…」


シャドウラグアは少し考える。

もはや勝ち目などありはしない。

それにオリジナルを名乗るラグアは恨みこそあれ、庇ってやる義理など毛頭ない。


「ミグ。取り引きだ。今ここで俺を逃がすなら教えてやってもいい」


シャドウラグアは言った。


別にオリジナルを名乗るラグアに義理はないが、己の生存の為に利用できるものは利用する。

それがシャドウラグアの考えだった。


だが…


「いやさー。偽物ってわかってもお前を見てるとラグアを思い出すんだよねー。つまりあたしはお前を殺したい…というか吐き気がする…」


シャドウラグアは無言である。

ミグの言葉には続きがあった。


「正直お前の事は気に入らない。だから約束してくれる?二度とあたしの前に現れない事を。そしてお前が支払う対価は情報と全神格エネルギーってところかな?」


「は?ふざけんなっ!!それじゃ結局死ぬじゃねーかよっ!!」


シャドウラグアは思わず叫んだ。


「全部とは言わないよ?存在を残せるギリギリの分は残してあげる。それがあたしからの条件だよ。どうかな?」


シャドウラグアは考える。

その程度の下級神以下の神格エネルギーを残されたところで、宇宙間の移動もままならない…というかできない。

最低でもオリジンゴッドの神格エネルギーは残さないと…

存在を維持できる程度…つまりは下級神以下の神格エネルギーなど論外だ。

そもそもこの荒れ果てた宇宙には気の遠くなるような時間経過以外で、神格エネルギーを回復する方法など残っていない。

創造の概念もこんなゴミのような神格エネルギーではまともに機能しない。


シャドウラグアは言う。


「そんなの認めるられる訳…」


「お前に選択肢はないよ?あたしはお前を殺してもいい。今はまだお前の神格エネルギーの方が上だから読心は使えないけど、お前の神格エネルギーを削りきって後に、あたしの黄泉の神で生き返らせて読心で探るって方法もある。勘違いしないでよ?これは単なるあたしの温情だよ?お前に選択肢なんかないんだよ?」


ミグは言った。



こうしてシャドウラグアの神格エネルギーは存在を維持する僅かな量を残し、その全てをミグに奪われる事となった。

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