第634話対悪食戦線60
ミグの力が急速に抜ける…
だが、本来のアンチステータスゾーンからは程遠い…
ミグは考える。
まず覚醒の効果が消えていない。
つまりそれはアラウザルゴッドの力を抑えられてない事を意味する。
さすがに概念は使えないようになっているようだが、代わりにラグアもどきの神格エネルギーはかなり落ちている。
それを言うならあたしの神格エネルギーも落ちているが、ラグアの神格エネルギーの落ち方はそれ以上だ。
たぶん今のラグアの神格エネルギーはあたしのせいぜい1.5倍程度…
一度はアンチステータスゾーンを使えたあたしにはわかる。
このアンチステータスゾーンは穴だらけだ。
能力のアドバンテージもない。
それでも概念だけはなんとしても封じたかった為か、自らの神格エネルギーを犠牲にした。
あたしは使える力を確認する。
神級スキルは問題なく使える。
アラウザルゴッドの能力も概念に直接関わる能力…例えば概念融合等以外は使用できる。
こんなお粗末なものであたしに勝てるわけないじゃん。
ミグはそう結論付けた。
「あ?てめえ誰に向かって言ってんだよ?俺が神星帝ラグア・エルライド・イグロシアルだ」
そう言ったシャドウラグアは千手観音モードを展開しつつミグに仕掛ける。
だが…
「反射」
ミグに向かったシャドウラグアの触手は全てミグに触れることなく弾き飛ばされた。
「偽物ごときがあたしに勝てるとでも?覚醒状態のあたしにそんな攻撃効くわけないじゃん?そもそも遅すぎるし、パワーも足りないし…」
アラウザルゴッドの能力のひとつである反射…
効果範囲に入った異物を本来の力とは逆方向に弾く能力…
単純な能力だが、この能力は神格エネルギー依存ではなく、ステータス依存だ。
つまり覚醒で底上げされたミグの反射を破る手段をシャドウラグアは持ち合わせていなかった。
ミグはそのまま一瞬で移動し、手近な触手の一本に全力の一撃を叩きこむ。
シャドウラグアの触手は爆散し、千手観音モードにより分散された神格エネルギーが流れ込んでくる。
これも穴だね…
アンチステータスゾーン中に神格エネルギーの移動があるとか…
ミグは思った。
「クソがっ!!」
シャドウラグアはそう思い切り毒づく。
元よりこんな不完全なアンチステータスゾーンで勝てるとは思っていない。
だが、概念融合だけは潰しておく必要があった。
あれを使われたら最後、一瞬で勝負がついてしまう。
だが、そもそもアラウザルゴッドとオリジンゴッドでは元々の自力が違いすぎる…
このままではジリ貧で確実に負ける。
どうする?
シャドウラグアがそんな事を考えていた時だ。
「さてと…それじゃー死ぬ前に本物のラグアがどこにいるのか吐いてもらおうかな?」
勝利を確信したミグはそう言ったのだった。




