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第633話対悪食戦線59


「ラグア…?」


ミグは目の前に現れたシャドウラグアを見て言った。


招かれざる客?

ラグアがそんな事を言うだろうか?

あたしとラグアはお互いを殺したくて殺したくて仕方がないはずなのに…

ミグは一瞬そう考えるが、すぐに思い直す。


いや…感じる気配も神格エネルギーも見間違える事のないラグアのそれだ。

ラグアは千年で変わってしまった?

あたしはこんなにもお前の事を思っていたのに…

ミグの違和感はその瞬間に怒りに変わった。


「ラグアぁぁ?ずいぶんないい草だねぇぇぇ?あたしはお前と会える日をこんなに心待ちにしてたってのにさぁぁ?お前にとってあたしは眼中にないか?他のアラウザルゴッドしか見えてないか?いいよ、全部思い出させてあげるよ?お前を殺す者の名前をさぁぁ?」


言いながらミグは神格エネルギーを全開にする。

ただそれだけでイグロシアル全体が震える。


「ほうミグ?その程度の神格エネルギーで俺に勝てると?舐められたもんだな?」


対するシャドウラグアも神格エネルギーを全開にする。

その差は歴然である。

シャドウラグアの神格エネルギーはミグの倍近い…


だが、シャドウラグアの内心は穏やかではなかった。

いかに圧倒的な神格エネルギーがあるとはいえ、シャドウラグアは所詮はオリジンゴッド…

相当な差がない限り、オリジンゴッドがアラウザルゴッドに勝つ事は不可能だ。

そして倍程度の差は相当な差ではない。

何しろ覚醒1発でステータス差がひっくり返るのだから…


そんなシャドウラグアの考えを知ってか知らずか…いや、実際違和感はあるのだろう。

ミグは言う。


「うーん…なんかビリビリこないなー。いや、普通ならビリビリくるほどの強烈な殺気なんだけどさー…昔のお前はこんなもんじゃなかったよね?もしかして牙抜けちゃった?まあいいや…嫌でも本気にさせてあげるよ?覚醒っ!!」


その瞬間、ミグのステータスが跳ね上がる。


「ちっ、クソがっ!!簡易アンチステータスゾーン!!


シャドウラグアは舌打ちから、そう毒づいた。

その直後、最初で最後の切り札を切る。


時間稼ぎは中途半端どころか全くと言っていいほどたりない…

もとより予定時間の時間稼ぎが成功していても、時間稼ぎの目的である、宇宙の神界とのリンクには程遠い…

現在のシャドウラグアは神界に多少干渉している程度だ。

アンチステータスゾーンなど劣化しているどころか、穴だらけである。

だが、シャドウラグアはもはやこのハリボテにすがるしか道はなかった。


「へぇ…なんだかんだ勘って当たるもんだね?ねえラグアもどき?」


ミグの疑念はその瞬間、確信に変わった。

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