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第532話対悪食戦線58


ゴッドバーストの嵐が晴れる…

ミグは主星イグロシアルを見据える。

現在も絶え間なく分体達は出撃を続けているが、それらは全てミュン1人によって抑えられている。


ミグは目を閉じる。

感じる中で脅威になりえる気配はあと1つ…

それは言わずともわかっている。


「みんなは待ってて?今度こそラグアと決着をつけてくるよ」


ミグの言葉にミグと共にイグロシアルに乗り込むつもりだったミュラ達は押し黙る。

相手はアラウザルゴッド…しかもこの千年で急成長を遂げた化け物だ。

悔しいが自分達では足手まといどころか、ラグアの神格エネルギーを増やすだけの結果になる事はわかりきっていた。


「ミグ…死ぬなよ?」


「わかってるってミュラっち。あたしが負けた事なんか…あ…いっぱいあるわ…」


ミグのその言葉にミュラはクスリと笑う。


「いいな?もし勝てる見込みがないと判断したら妾は迷わずアゼルメーテ様に救援を要請するぞ?」


「うわ…あたし信用無さすぎるんだけど…」


「普段の行いを見直してみたらどうだ?」


「ひどいよー…」


ミグとミュラはそんな友人同士の気安いやりとりをする。


「じゃーいってくるね」


ミグは最後にそう言い残し、単身イグロシアルに乗り込むのだった。




ミグはイグロシアルに降り立つ…

当然ながらアラウザルゴッドやオリジンゴッドが惑星の近郊であれだけ激しい戦闘を繰り広げれば、イグロシアル自体も無事ではない。

見渡す限りの廃墟…

それがミグがイグロシアルに降りて最初に見たものだった。


「ラグアの気配は…」


ミグはそう呟きながら気配を探る。


あそこだ。

あの瓦礫が集中している場所からラグアの気配がする。


「ん?」


そこでミグは違和感を覚える。

なんでラグアの本拠地がこんな状態になっている?

ラグアの力なら自分達の戦いの余波程度は涼風も同然だ。

なのに本拠地を守ることすらせずに、ラグア本人はおそらく居城があったであろう瓦礫の山に埋もれている。

明らかにおかしいのは自分のバカな頭でもわかる。


「あー、誰か連れてくればよかったかな?あたしこうゆうのを考察するの苦手なんだよね…」


ミグは誰に言うでもなくそう呟いたその時だ。

ラグアの気配がする瓦礫の山が勢いよく吹き飛んだ。


そして瓦礫の山があった場所には1人の少年が佇む。


「招かれざる客だが、歓迎してやるよ。入場料は命だ」


特徴的な真っ白な髪に対象的な真っ赤な瞳の美少年…

シャドウラグアは言ったのだった。

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