第627話対悪食戦線53
「次は………ねえミュラっち?これラグアやる気あるのかな?」
ミグはミュラの方に視線を送り露骨に顔をしかめた。
「わからん。ただどう見ても勝算のない策である事は確かだな」
ミュラは答えた。
ラグア…シャドウラグア達の次の一手…
それは…
「王級クラスに帝級クラス…一応神級クラスも混じっているが雑魚ばかりだな…」
ジオは呟いた。
シャドウラグアが繰り出してきたのは最高戦力以外の特別幹部、最高幹部の混成軍…
「ジオっち…あたしずっと気になってたたんだけどさ…なんか今回のラグアの戦い方、気になるんだよね…」
ミュンの技能の神により次々と散っていくシャドウラグアの増援を見ながらミグは言った。
勝算のない戦略…
それ以前にミグがよく知るラグアのいつもの戦い方とは似ても似つかない戦法…
少なくとも現在の様に、足止めにすらならない様な戦力を使い潰すような真似はしなかった。
〜
無限分裂の分体達は絶えずイグロシアルより特攻を続けている。
「なんかひっかかるけどそろそろこっちから…」
仕掛けよう…そうミグが言おうとした時だ。
「ようやく出てきたね…」
ミグは呟いた。
「はじめまして。あたしはリオーナ・ミュールゼル・イグロシアル。そう簡単に弟のところにはいかせないわよ?」
今回イグロシアルより出てきた集団は僅か6名…
だがそれは、シャドウリオーナを筆頭にしたイグロシアル最高戦力である。
今までの雑魚とはまるで格が違った。
「ジオはあの白い女を…ミュラはエリスって言ったか?ラグアの腹心を…俺ははじめてみるあの女をやる」
ロロはジオとミュラにそう的確に指示を出した。
ちなみにはじめてみる女というのは、シャドウリオーナのことである。
「なら残りの3人のうち、2人は俺とミストが受け持つ。ラルファだったか?とシーラ。残る1人を頼んでいいか?」
「ないわー。なんでウチの相手がこんな雑魚とかないわー」
シーラはそうぼやくが、ギゼル達は無視である。
シーラ達が受け持つのはイグロシアル最高戦力の下位勢…
シャドウフィローラ、シャドウバルト、シャドウライナーである。
もちろんシーラが戦うシャドウフィローラは間違っても雑魚ではない。
だが、ミュラ達が相手にする上位勢と比べれば、遙かに劣るのも事実だった。
「さて、ラルファはあたしといっしょに…ロロ様っ!?」
それはミュラ達にシャドウリオーナ達を任せてラルファと共にいよいよラグアの元へ向かおうとした時だった。
シャドウリオーナに相対していたロロ・ベアトリクスが一瞬で引き裂かれた。
シャドウリオーナはそのままの勢いでギゼルとミスト…そしてシーラをもまとめて引き裂く。
シャドウリオーナの攻撃は止まらない。
そのままの勢いでシャドウリオーナの一撃がミュラに迫るが…
轟音…
リオーナの一撃は止められる。
「誰だか知らないけどやってくれるね?」
「あら?そう簡単に弟のところにはいかせないって言ったはずだけど?」
ミグとシャドウリオーナは一旦距離をとり、相対するのだった。




