閑話エルライド王国襲撃2
エリス視点のお話です。
目の前の化け物は、爆散と再生を繰り返している。
エリスは思う。
自分も人魔に進化して、人間やめているが、アイツはアイツで人間をやめている。
ラグア様からいただいた、今の自分の力は、ステータス差でおそらく倍以上の差がついているはず。
しかもセリーの補助魔法もあるので、更に差は広がっているはずだ。
なのに、削り切れない。
私はセリーに言う。
「セリー、鑑定魔法を使え。スキルの詳細がわからないとコイツは殺せない。」
「ですが、鑑定魔法は王級スキル持ちの同格相手には、時間がかかりますし…」
「構わん。やれ。」
セリーは鑑定魔法の準備をはじめる。
ゼノムはセリーにつっこむが、私が間に入る。
今のゼノムの行動からわかるのは、ゼノムのスキルは無敵ではない事。
もし無敵なら、セリーの鑑定魔法など、放っておいていい。
セリーの妨害をしようとした事が何よりの証拠だ。
セリーは万能型だが、ラグア様の配下である、自分達人魔3人の中じゃ、単純な戦闘力は1番低い。
それでも、フィリムやフィリアよりは上だが、彼女達は完全なスキル特化型だ。
だが、それでもゼノムよりは、セリーの方が戦闘力は上なのだ。
にもかかわらず、格上の私を無視してまで突っ込んできたのは、セリーの鑑定魔法を恐れての事だろう。
私はゼノムの胴体を爆散させる。
しかし、すぐに再生する。
この再生さえなければ、既に100回は殺している。
私はラッシュを叩き込む。
ゼノムは爆散と再生を繰り返し、もはや原型をとどめていない。
「エリス様っ、鑑定魔法が完了しました。持っている王級スキルは、再生王と不死王。再生王は瞬間再生が可能です。不死王は10秒間HP0でも動き回れるスキルです。」
つまりラグア様の不滅の帝の劣化スキル。
爆散後に、セリーに状態異常魔法をかまさせれば、勝てない相手ではない。
「セリー、私がヤツを爆散させた後に、昏倒か、静止の魔法を撃て。同格相手には決まりにくいだろうが、きまるまで、私が攻撃し続けるから大丈夫だ。」
「こりゃマジでやべーわ。逃げよ。」
ゼノムは逃げようとする。
マズイ逃げられる。
長距離転移を使われたら私達ではどうにもならない。
その時だ。
突如魔法陣が現れ、中から出てきたのは…
「ラグア様っ‼︎」
これで、ゼノムは終わりだ。
エリスはそう思った。
魔法陣から出てきたラグアは、いきなりゼノムに向かって魔法を撃ち込む。
「えーと、アクアハザードっ」
それだけでゼノムはバラバラどころか、粉々に爆散する。
だが粉々になった、パーツは少しずつ集まり徐々に、人型を取り戻していく。
「劣化版でも自分の能力ってマジで化け物だな。」
ラグアは呟いた。
「まーいいや消えろ。」
ラグアの指先から、直径5メートル程の火の玉が発生する。
「味方の巻き添えも怖いし、エルライド王国も近くにあるから、小型超新星爆発は使えない。悪いがこれで死ね。」
「おっお前が魔王ラグアか?」
ゼノムが問いかけるが、ラグアは無視して火の玉を撃ち込む。
「ベビーコア」
惑星の中心核より集めた、そのエネルギーは、触れたものを消滅させる。
小型超新星爆発と違い、必ず当たる訳ではないのだが、格下相手には、これで十分である。
私はベビーコアが発動した時点で、既に跪いていた。
帰ってきた主人を迎えるそれは、配下の役目だ。
もし、相手がまだ生きていたら?
そんな事はありえない。
我が主人が死ねと言ったら、必ず死ぬのだ。
「お帰りなさいませ、ラグア様。お手をわずらわせてしまい申し訳ございません。」
私達は、戻ってきた主人に跪くのだった。
ちなみに、ゼノム・イロードの息子は転生者です。
詳しくは、閑話とある人間のお話をお読み下さい。




