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第620話調停者3


「それは…」


エルミナがそう言おうとした瞬間だった。

突如、一瞬でオルメテウスの神格エネルギーが爆発的に上がる。

そして次の瞬間にはオルメテウスはエルミナの首筋に手刀を突きつけていた。

既に神格エネルギーは元の何もない状態に戻っているが、一瞬だけ見えたオルメテウスの神格エネルギーはおそらく概算で俺の10倍はある。


「警告だ…エルミナ…そしてラグアだったか?…退け…」


ふざけんなよ…

結局コイツも普通に化け物じゃねーかよ…

なんとかギリギリ目で追えるとかそんなレベルだぞ?

しかも神格エネルギーから見るにたぶんアイツまるで本気じゃねーし…

俺のそんな思考をよそにエルミナは答える。


「くかかかっ!!オルメテウス?お前が一瞬とはいえ起きるなんていつ以来だ?ラピロア様が見たら喜ぶぜ?」


「戯言か?…警告はしたぞ?…」


「あ?答えはNOだよ。つーか相変わらず甘めーヤツだな?オレがお前ならもう殺ってるぜ?」


「………」


無言…

それがオルメテウスの答えだった。

だが、先程の無言と今回の無言ではまるで違う。

オルメテウスから微弱な殺気が放たれる。

マズイ…

ここでエルミナがやられたらアイツに勝つのは不可能に近い…


「概念融合、光天…」


俺が最速の概念を融合させ動き出そうとした時だ。



突如、俺の概念融合が強制解除されて金縛りにあう。


凍眼?

いや概念融合中は凍眼が効かないんじゃなかったのかよ?

しかも長い…

一瞬じゃねーよ…これ…

更には俺の視界の中にいるエルミナ、オルメテウス、そしてエリローズまでもがピクリとも動かない。

まあ、こんなふざけた事ができるのは俺は1人しか知らないが…


「オルメテウスさー?久々に起きたのは嬉しいけどあんまりボクの可愛い配下達をいじめないで欲しいなー?」


その声と共に現れた存在は見た目はただの子供…

白と黒のツートンカラーにわかれた髪以外はただの子供にしか見えない。

だがそれは虚像であり、この存在の気まぐれで全宇宙が滅びる程の絶対の神であることを、この場の誰もが知っていた。


急に金縛りが解けた。

この化け物の事だ。

おそらく効果時間が切れたとかじゃなくて、解除しただけだろう。


約千年ぶりに見るラピロアの第三形態…

分譲の概念で108つにわけた魂のうちの1つの力を、極限まで抑えた本体だという第三形態…

その俺の約30倍の神格エネルギーを目の当たりにしながらそんな事を思うのだった。

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