第616話盟約
「逆に問う…白天…お前は盟約を違えるのか…?」
オルメテウスと名乗るその存在は言った。
「あ?知らねーよ?」
俺は言った。
うん。
普通に知らん。
盟約?そもそもなんの話だよ?
「なるほど…白天よ…かつてラピロアは誓った…我々イナゴに対して…互いに対する侵略行為が行われない限り…互いに不可侵を貫くと…」
ん?要約すると仕掛けられない限り攻めない的なヤツか?
なんかどっかの平和の国の9条みたいなヤツだな…
つーかマジでラピロアがそんな事言ったのか?
アイツ適当で気分屋だけど本質は俺とそう変わらないぞ?
少なくともそんな平和ボケしてるような発言をするとは思えない。
「ほう?あのラピロア様がねー?少なくとも俺の知ってるラピロア様と一致しねーぞ?」
俺がそう言ったその時だ。
「正解だぜラグア。ラピロア様はそんな事言ってねーよ?オルメテウス。何お前都合のいいように曲解してるんだ?」
その言葉と共にこの場に俺を含めて4体目アラウザルゴッドが現れる。
灼熱の様な髪を持つ女…
「エルミナ…」
オルメテウスは呟いた。
「盟約?なんだそれ?ラピロア様がかつて言ったのはな、自分を殺せる可能性のあるアラウザルゴッドに淡い期待を持って自分からは仕掛けねーって言ったに過ぎない。そして…」
エルミナはそこで一度言葉を切る。
「そんなラピロア様の言葉はラピロア様に自由行動を許されているラグアにもオレにも当てはまりはしねーんだよ?」
エルミナは言った。
「………」
オルメテウスはエルミナの言葉に黙りこむ。
突如現れたオルメテウス…そしてエルミナの乱入…
俺は口を開く。
「よおエルミナ。久しぶりだな?ラピロア様は元気か?」
「ラピロア様は相変わらずだよ。つーか久しぶりか?まだ最後に会ってから900年も経ってねーぞ?にしてもラグアお前…ほんのちっと見ねえ間に強くなったな?」
エルミナは言った。
俺とエルミナは時間の感覚が全く違うから仕方ないか。
「今ならお前とやっても俺が勝つんじゃねーか?」
俺は挑発的な笑みを浮かべてそう言った。
「くかかかっ、それはオレの神格エネルギーを超えたからか?甘めーよ?お前の神格エネルギーはオレの3倍ってとこか?ラグア。そこでお前に殺される寸前だったコレートルも途中まではいい勝負してただろ?やってみるか?言っとくがオレ達古参のイナゴは全員一筋縄じゃいかねーぞ?」
俺の挑発にエルミナは笑いながらそう言ったのだった。




