第614話悪食
「概念変換」
その言葉の直後、コレートルの神格エネルギーは膨れ上がる。
その勢いは凄まじく、ついには俺の神格エネルギーを超える。
ふと俺はリーゼ達とミグ達の戦闘に意識をさく。
向こうは援軍を得てどちらも優勢に戦闘を進めている。
まあ、リーゼ達の計算された戦いとミグ達によるゴリ押しの戦いと差はあるが、今のところ問題ないようだ。
まあ問題はこっちだな…
俺はコレートルの方に意識を戻す。
最終的な神格エネルギーは俺の1.2倍ぐらいか?
「これが儂の力…概念を神格エネルギーに変えるアラウザルゴッドの力…白天よ…この力の前に貴様は破れるのだ」
「エリローズ、いけるか?一応俺達の2人合わせた神格エネルギーの方が多少は多いが、たぶん余程のバカじゃなければコレートルは概念をいくつか残してるはずだ。油断すればやられるぞ?」
俺はコレートルを無視してエリローズにそう言った。
「ふふっ、久方ぶりの共同戦線ですね。ラグア様サポートは任せてください」
対するエリローズは機嫌が良さそうにそう言った。
けっこう緊張感のある展開なんだけどな?
まあいい。
負ける気がしねーしな?
「発動、概念融合、冥合。自覚のないまま全ては一つに…儂という絶対の存在に統合される…」
「概念融合、消失」
ちっ…
打ち消す事に特化した概念消失でも強化されたコレートルの概念は打ち消しきれない…
このままじゃ押し負ける…
まあ得に心配はしてないがな?
「領域纏い、概念、消滅」
エリローズは横からコレートルの概念に突っ込むとコレートルの概念融合がかき消える。
俺はその隙を逃さず、コレートルに肉薄する。
「見事だ。だがこれで終わりだ。ゴッドバースト」
「転換」
俺が転換を発動すると、俺とコレートルの位置は強制的に入れ替わり、俺の真後ろでゴッドバーストの暴風が響く。
そして位置が入れ替わった事により…
「概念融合、炎舞」
「領域発生、概念、神滅」
俺とエリローズの後方と前方からの同時攻撃が刺さる。
「概念融合、絶壁。ぐっ…貴様…ゴッド…」
俺の炎舞を完全には防ぎきれずに、神格エネルギーの減ったコレートルはゴッドバーストで神格エネルギーのリセットを図るが…
「やらせねーよっ!!せっかくできたチャンスだしな?」
俺の全力の神格エネルギーを込めた触手のラッシュがコレートルを襲う。
ここが決めどきである。
神格エネルギーが減っているという事は、ゴッドバーストを繰り出す速度も落ちているという事だ。
ここで神格エネルギーを削れるだけ削る。
もちろんここでコレートルを倒したところで黄泉の神で復活されるが、大局は決まる。
「バーストっ!!!!」
コレートルから奪えた神格エネルギーは2割程度…
だがこれでコレートルの神格エネルギーの優位は完全に消えた。
「概念融合、神滅」
コレートルから放たれた神格エネルギーの暴風を散らす。
蒼天ミグ、星王ミグともに得意技であるゴッドバースト…
黄泉の神を利用した高火力かつ、ダメージのリセットも可能にする便利な技だが、俺はこの技を使う事ができない。
いや1発だけなら使えるには使えるが、使った時のデメリットが酷すぎる。
俺の概念、不滅との相性が最悪すぎる。
使った瞬間、不滅が発動してゴミみたいな神格エネルギーで俺は生き残ってしまうのだ。
まあ俺がコレートルの復活のインターバル中に、こんな事を考える余裕があるのも、ほぼ勝ちが確定したからだ。
もはやよほど俺が致命的なミスを犯さない限り、コレートルの逆転はありえない。
俺はそう思いながら口角を吊り上げるのだった。




