第608話対悪食戦線47
俺の無数の触手がコレートル達を襲う。
まず赤い球体に向かった俺の触手は一瞬で赤い球体…コレアと呼ばれた存在を一瞬で八つ裂きにした。
コレアは反応すらできなかった。
次に浅黒い球体に向かった触手…
驚く事に浅黒い球体は俺の触手が当たる直前で反応を見せた。
なんとか防御姿勢をとるが、アラウザルゴッドの神格エネルギーはそんな生やさしいものではない。
結果はコレアと変わらず八つ裂きになる。
最後にコレートルに向かった触手…
うん、コレートルに触れる事なく弾かれたわ。
概念も使ってないし、全力からは程遠い程度の神格エネルギーしか込めてないからまあ予想はしてたけどさ…
俺に浅黒い球体とコレアの分の神格エネルギーが流れ込んでくる。
「白天よ。どうせかなりの長期戦になるのだ。ならば儂と少し話すというのも悪くないとは思うが?」
コレートルがそう言った直後だ。
浅黒い球体とコレアが復活したのは…
「黄泉の神か…めんどくせーな…。まあいい。長期戦になるのは理解した。俺はラグア・エルライド・イグロシアルだ。お前らは白天って呼び名の方がよく通じるか?」
「そうだな。生物出身の神で異常とも呼べる成長速度のラピロア配下の1人のアラウザルゴッド…。儂がお前について知っているのはそんなところか。アゼルメーテについている蒼天も恐ろしい成長速度だが、白天のお前はそれ以上か。既に神格エネルギーは儂より遥か高みにある」
コレートルは言った。
ざっと概算してコレートルの神格エネルギーは、だいたい今の俺の3分の1ってとこか?
純粋な戦いなら俺が負ける要素は微塵もない。
フォースアイとかいう敵の主力は俺の相手にすらならない。
「そうだな?つまり天地がひっくり返ってもお前が勝つ事はねーな?絶望しろ」
俺は言葉と共に神格エネルギーを全開にする。
「全く。最近の若い神はせっかちだな。覚醒」
神格エネルギーは俺の3分の1…
つまり覚醒を使えばステータスだけは追いつくって事か。
「あ?それで追いついたと?なめてんのか?覚醒」
追いついたコレートルのステータスを即座に引き離すと俺はコレートルに襲いかかる。
無数の触手の嵐だ。
今度はさっきみたいになめた神格エネルギーではない。
「コレト、コレア、退がれ。転換」
俺の無数の触手はコレートルを貫くが一切の手応えがない。
転換は確かアラウザルゴッドの能力で自分と相手の位置を入れ替える技だ。
方向自体は変わらないから、俺とコレートルは背中合わせになる。
もちろんその効果を知っている俺は転換が発動した瞬間から、背中の触手をハリネズミの様に伸ばして攻撃準備をしている。
さらには神格エネルギーの反応を頼りにコレートルを狙う。
「発動、概念、原理」
俺の触手は次々にコレートルに被弾するが、力が逃げてあらぬ方向に受け流される。
「神格エネルギーが負けていようがいくらでも戦いようはある。伊達に長い時は生きてはいない。経験の差だ。白天よ」
コレートルは言った。
俺とコレートルの戦いははじまったばかりだ。




