第605話対悪食戦線44
現在、ライナーとジルコスはお互いに概念を解放している。
「ありがとよセリー。たぶんお前が正解だよ」
ライナーはそう呟くとジルコスに斬りかかる。
「むっ…やはり直接強化系か。名前に惑わされるところだった」
ジルコスは言いながらライナーに直進する。
ジルコスから見えるライナーの速度はこれまでとは比べものにならない程あがっている。
ライナーとジルコスは互いに激突する。
だが…
「ちっ」
ジルコスの短い舌打ちが響いた。
迎えうったジルコスの攻撃はライナーをすり抜ける。
またライナーの攻撃もジルコスをすり抜けた。
そして逆側から一拍おくれてジルコスを襲う衝撃…
「ぐっ…そうか。それが貴様の能力か。まさか視覚と神格エネルギーの反応を同時に誤魔化すとはな?」
ジルコスは言った。
ライナーの攻撃の直撃を受けたにもかかわらず、ジルコスはその場にとどまり続けている。
「ライナー。なかなか面白かったが残念だ。我の不動の概念は外部からの干渉に動きの影響を一切うけなくなり、更には我に触れているものの動きも一定時間止める」
そう言ったジルコスは既にライナーの手首を掴んでいる。
「つまり貴様は我の渾身の一撃を受けるしかないと言う事だ」
ジルコスの神呪の剣がライナーを襲うが…
「なっ!?これも幻影だと!?」
ジルコスは驚愕する。
「発動、神喰の剣、神格ブースト、神斬」
「!?っ」
その声はジルコスの真後ろから聞こえた。
ジルコスは慌てて防御体制をとろうとするが…
「別に防御なんかしなくていいぜ?はじめから狙いはこっちだしな」
「ぐっ…」
くぐもった悲鳴と同時にジルコスの右腕は、神呪の剣ごと切り飛ばされる。
「バカがっ!!我を切ったら貴様は動けん。奪った神格エネルギーを返してもらおう」
ジルコスの左腕の一撃がライナーに迫る。
だが、ライナーはそれをなんなく躱す。
「確かに動かせねーよ。神喰の剣はな?」
ジルコスの右腕を切り飛ばしたところで静止している神喰の剣を手放したライナーは言った。
何故ライナーが動けるのか…
それはライナー自身はジルコスに触れていないからだ。
「じゃー、隙だらけだから攻撃させてもらうぞ?」
「ぐっ…くそっ…」
ジルコスの左腕はジルコス自身の剣である神呪の剣で切り飛ばされた。
そして…
「うわ…さすがゴッズウェポンだな…めちゃくちゃだ…マジで当たってたら詰んでたな…」
神呪の剣を使ったライナーはその効果に目を見張るのだった。




