閑話エルライド王国襲撃
私の名前はエリス。
偉大なる魔王、ラグア様の下僕だ。
隣にいるのは、セリー。
私が育てた元人間で、今では私と同様の幹部だ。
私達は現在、ラグア様よりエルライド王国の守護を任されている。
万が一にも、ラグア様の期待を裏切る訳にはいかない。
エリスは、ルシエル聖国にいる主人の事を考えながら思う。
「!?エリス様っ敵襲です。」
そんな時だ。
セリーが私にそう告げたのは。
敵襲?今や魔王随一の力を持つラグア様の国に?
バカなのか?
それとも、ラグア様不在を狙っての事か?
セリーの魔導王によって補正された、探知魔法は、半径100キロにも及ぶ。
転移魔法の面では、セリーは短距離転移しかできない為、フィリアに劣るがセリーは万能タイプの魔法型だ。
完全な戦闘特化の自分には、悔しいが真似できない。
私は言う。
「セリー、迎え討つぞ。万が一にも、戦闘でこの国を傷つけようものなら、ラグア様に申し訳が立たない。」
そう言って私達は、敵を迎え討つ。
〜〜〜
エルライド王国より南に10キロ地点。
現在、セリーの転移魔法を5回程使って私達はここにいる。
目の前にいるのは、中年ぐらいの髭面の男。
「俺は、リンガイア王国勇者、ゼノム・イロード。この先のエルライド王国にいるという、魔王ラグアを討伐にきた。どっちが魔王ラグアだ?」
ゼノムとか言う勇者は私を見て、盛大に勘違いした。私は言う。
「私はエリス。こちらはセリー。私達は、偉大なるラグア様の下僕。ラグア様は現在不在だ。私でよければ相手をしよう。」
「おいおいマジかよ?配下クラスでこれとか、笑えねーよ。そりゃ俺はスキル特化型だけどよ。」
ゼノムは驚愕している。
「ラグア様の災いとなる可能性があるものは、私が排除する。それが私達の役目。」
私は突っ込む。
動きの感じからみて、おそらく、ステータスは私はおろか、セリーにすら劣る。
私の敵じゃない。
事実、一撃で首を刈り取る事に成功した。
「セリー帰るぞ。ラグア様が戻られたらご報告する。」
「エリス様っまだ動いています。」
見ると胴体が起き上がり、離れた首を持ち上げくっつけるところだった。
化け物。
それがエリスの感想だった。
「おいおいおい?マジかよ?今の攻撃見えなかったぞ?てか俺がふつうの人間なら死んでたわ。あぶねー。あぶねー。」
エリスにはステータス見えない。
おそらく見えていたら、王級スキル、不死王と、王級スキル、再生王の組み合わせによるものと言う事が、わかったのだが、エリスには残念ながらわからなかった。
不死王
HPが0になっても約10秒間動く事ができ、その間に回復すれば、復活も可能。
再生王は、ラグアも前に持っていたスキルで瞬間再生を可能にする。
エリスは、敵がただのザコと言う認識を改める。
「セリー、サポートを頼む」
「はっ」
こうして、エルライド王国でも、戦闘がはじまった。




