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第598話対悪食戦線37


「さあ?考えた事もありませんでした」


沈黙…幾ばくかの間のあとシャドウラルファの発した言葉はそれだった。


「じゃー質問を変えるよ。あんたとラグアの関係は?」


「お父様と私の関係ですか?私は惑星国家イグロシアル、第六星帝、ラルファ・オルガット・イグロシアル。言うなればお父様…ラグア・エルライド・イグロシアルの6番目の子ですよ」


無表情のまま言ったシャドウラルファの言葉に、ミグはともかくミュラ達は合点がいった。

これまでラグア陣営と何度も戦ったが、少なくとも千年前にはこんな第何星帝とかいう化け物達は存在しなかった。

それにその見た目もシャドウラルファを改めてみると、ラグアそっくりの真っ赤な瞳が特徴的だ。


「そっか…ラグアの娘か…。お前はあたし達…言うなれば兄妹達を殺し、今まさにお前自身を殺そうとしているあたし達になんの感情も湧いてないってだよね。まあ言ってるあたしがもし逆の立場なら、たぶん逆上して例え負けるってわかってる相手でも、黙って殺されるなんてありえないんだけどね…」


「そうですか。それが普通の感情ということですか。無駄な抵抗ですね」


シャドウラルファの言った言葉は正しかった。

この場でシャドウラルファが抵抗したところで生き残れる可能性はもはや絶無だ。

なのにどうして無駄な抵抗をする?

合理性から考えれば無駄でしかないのに…

感情が欠落しているシャドウラルファは本気でわからなかった。


「あたしなら無駄でもやるよ。ってゆーかこんな話をしていてもお前は眉一つ動かさないんだね?」


「ええ、先程取り繕うのをやめましたから」


ミグとシャドウラルファはお互いにそうやりとりをした。


少しの沈黙…

その後にミグは再び口を開く。


「ねえお前…いやラルファ…」


ここに来てミグははじめてシャドウラルファを名前で呼んだ。

ミグは続ける。


「…あんたあたしと来ない?」


ミグのその言葉にいままで無表情だった、シャドウラルファの眉は僅かに動く。

だが、ミグの周り…ミグの仲間達はそんな小さな反応で済むはずがなかった。


「ミグっ!!勝手に何言ってやがるっ!!」


「妾も聞いてないぞ?」


「ミグ。いったいどーゆー事だ?」


ミグの仲間達はそんな事を口々に言うが、ミグはその言葉達を一切無視して真っ直ぐシャドウラルファだけを見据える。


「で?どうかな?あたしについてくれば退屈はさせないよ?」


ミグはそう言うと、シャドウラルファの次の言葉を待つのだった。

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