第596話対悪食戦線35
そう。
突然目覚めたわけのわからない力…
そんな力により、シャドウルーグは大半のゴッドバーストを受け流す事に成功した。
だが、それでも生き残るかどうかは起源と自分の神格エネルギーの賭けだった。
ミグとシャドウルーグの神格エネルギーはそこまでかけ離れていたのだ。
ミグのゴッドバースト…それこそかすっただけでシャレにならないダメージを受ける程に…
「そっかー。教える気はないかー。一応読心を使ってるんだけどなんかお前自身もよくわかってないみたいだねー?まあいいや。そろそろあたしはミュラっち達の援護にいきたいし本気でやるよ。概念融合、炎舞」
シャドウルーグは何が起きたのかわからなかった。
そうわからないうちに自分の体は神格エネルギーごと完全に燃え尽きたのだ。
シャドウルーグは、自分が何をされたのかわからないまま完全に消滅した。
「神格エネルギーなんて関係ない。それこそ余程絶望的な神格エネルギー差があればわからないけど、そうでない限りは、オリジンゴッドは絶対にあたし達アラウザルには勝負にすらならないんだよ」
これが…これこそが理不尽なイナゴである。
概念融合…それは神格エネルギーを無視して融合した概念の力を無条件に遂行するアラウザルゴッドのみに許された力…
その力の前には全宇宙のほとんどの存在は赤子に等しかった。
「さて、それじゃー遅くなっちゃったけどミュラっち達の方に援護にいこーかな?」
ゴッドバーストによりシャドウルーグ以外の自分と戦っていた敵は既に全滅…
ミグはそう言いながらミュラ達の戦いの方に目を向けるのだった。
〜
「は?」
戦闘中にも関わらずミュラは思わずそう言ってしまった。
あれは概念融合…
アラウザルゴッドにのみ許された化け物の如き力…
ミグが使った…つまりはそれほどの相手か…
「おいっ、私相手によそ見か?あ?こら?」
マズイ…
気づいた時にはミュラの目の前には既にシャドウロニーの一撃が当たる直前だった。
だが…
突如シャドウロニーは爆散した。
何故なら…
「そーだよミュラっち。よそ見はよくないよー?」
それをやってのけた張本人はあっけらかんとそんな事を言った。
「ミグ。もう敵は倒したのか?」
「うん。思ったよりしぶとかったから概念融合でパパーっと…」
「お前はアホか?いやアホだったな。妾が間違っていたすまない」
「うんうん。わかればいいんだよ…ってあたしアホじゃないよ?」
「これからあのラグアと戦うのにこんなところでそんな切り札を使うバカがどこにいるっ!?」
ミグのあんまりな答えに思わずミュラは叫んだ。
「え?だってちょっとしか使ってないし…まだ使える時間はそれこそたーーーっぷりあるし…そもそもミュラっち、よそ見を助けてあげたお礼が先だよー」
「妾のよそ見?それはミグ、お前のバカな行動のせいだ。何がたーっぷりだ?ラグアの概念融合はおそらく更にたーっぷりあるのだぞ?このアホがっ!!」
「えー…なんで助けたあたしが怒られてるのー?」
ミグのその声に答えるものはなかった。
ところどころから聞こえる戦闘音のみが響くのだった。




