第591話対悪食戦線30
ミュンがシャドウルーグに向かって動きだす。
シャドウルーグの口角が吊り上がる。
だが、ここで最もミュンの近くにいたミュラが咄嗟にミュンに追い付き、ミュンを後方に放り投げる。
それとほぼ同時シャドウルーグはその場から消える。
次の瞬間にはミュラの左腕は文字通り吹き飛ばされていた。
「ぐっ…」
かなりの神格エネルギーを失ったミュラはすかさず身をひこうとするが、シャドウルーグの追撃が迫るが…
シャドウルーグの追撃がミュラに届く事はなかった。
何故なら…
「ギャハハっ、ガキぃ?ずいぶんと仲間思いじゃねーかよ?」
下品な笑い声をあげながらシャドウルーグはミュラと自分の間に割って入ったミグと激突するとそう言った。
「死ねよ。ゴッドバース…」
「!?っ、あぶねえなっ!!」
ミグのゴッドバーストが発動する寸前でシャドウルーグの姿は再び消えて元の位置に戻る。
「お前誰だよ?あたしの仲間に何してくれるのかなー?死にたいみたいだね?」
そう言ったミグはアラウザルゴッドの神格エネルギーを全開にする。
「ほう?こりゃやべーな?ビリビリくるぜ?他はともかくあのスライムのガキは格が違うな。なんつー神格エネルギーしてやがる。姉貴を遥かに凌ぐ程の実力か…コイツはやべーなー?」
シャドウルーグがミグの初撃を躱せたのはミグがまだ本来の力を解放していなかったからにすぎない。
そして第二星帝であるシャドウルーグが姉貴と呼ぶ存在はもちろん、シャドウリーゼをおいて他にはいない。
「フェルゼンっ!!ロミルっ!!アベルっ!!お前らはオレを援護しろっ!!スライムのガキを殺る。ラルファっ!!残りの弟妹達と四天王の3人で他の有象無象を駆逐しろっ!!」
シャドウルーグは叫んだのだった。
〜
シャドウルーグ達とミグ達の戦いがはじまった頃…
〜シャドウラグアの宇宙、主星イグロシアル〜
「準最高戦力を率いてルーグが出撃した?」
シャドウラグアはシャドウリオーナに向かってそう言った。
「ええ。正確には勝手に出撃したわね。まあ予想はしてたけどね?それより鋭治の方はどう?」
シャドウリオーナはシャドウラグアの質問に答えてから、質問で返した。
「あの野郎…。俺の方は準備が整うのには最低あと半日はかかるぞ?」
シャドウラグアはそう毒づいた。
ただでさえ戦力の少ないこの状況でライナー以外の四天王をはじめ、1桁台の星帝など準最高戦力と呼べる者達を、勝手に引き連れて出撃したのだからそれも仕方ない事だった。
「いいわ。鋭治の方はそのまま進めて?間違ってもルーグの援護に戦力を出すような事をしちゃダメよ?1番重要なのは鋭治が生きてる事。準備さえ整えばいかにアラウザルゴッドが相手でもこちらの勝率は相当なものになる。組織を再構築するのは、今回の戦いが終わってから黄泉の神を手に入れればいいだけよ?」
「ああ、わかってる」
シャドウラグアは言った。
「ふふっ、まあそう焦る事はないかもね?独断行動の件はおいといてルーグはあたしの予想だとそう簡単にやられないわ。あたしがリーゼちゃんを見てると昔の自分を思い出す様に、ルーグは…」
シャドウリオーナはそこで一度言葉を切ってから言う。
「…クソ兄貴にそっくりだからね」
シャドウリオーナは言ったのだった。




