第585話対悪食戦線24
〜場所は変わってラグア達が待機している宇宙〜
次の襲撃までの時間はまだ2時間以上ある。
はっきり言って簡単な打ち合わせ以外にすることはない。
暇を持て余したリーゼはシャドウの方の宇宙の様子をみていた。
「まあこうなるよね…シャドウとかオリジナルとか関係なく、無策でリオ姉と戦えばそりゃね………まあ未来予知を駆使して、今回は運よくなんとか逃げる事ぐらいはできたみたいだけど、実質ボロ負けだね」
リーゼは呟いた。
リーゼの目には現在、シャドウリオーナとシャドウリーゼ、そして突如乱入してきたシャドウミグとシャドウシーラが映し出されている。
シャドウリーゼがなんであの様な暴挙に出たのか…それは逆上したと見せかけて命を繋ぐ為だ。
シャドウリーゼは未来予知によりシャドウミグの接近を読んでいた。
だが、ただシャドウミグが来るのを待っていれば、シャドウリオーナはシャドウミグと接触前にシャドウリーゼを始末してシャドウミグとの戦いに臨むだろう。
だからこそ、シャドウリーゼはシャドウミグの攻撃の瞬間に、自らが今出せる全力攻撃を合わせた。
そしてその後にくる、シャドウミグの攻撃でシャドウリオーナの意識が逸れる一瞬の隙をついてシャドウリーゼは逃走に成功したのだ。
だが、これは運の要素が強かったとしか言えない。
今回シャドウリーゼが見た未来は、42通り中のたったの一つの未来なのだから…
他の41通りの未来が現実となっていた場合、シャドウリーゼは間違いなくこの世にいなかっただろう。
「それにしても…リオ姉のあの覚醒まがいのパパ風に言うとチートってヤツにも、一応弱点が…いや弱点って言えるか微妙だけどあるんだね」
リーゼは呟いた。
シャドウリオーナとシャドウリーゼの一戦を見て、リーゼが気づいたリオーナの神毒のステータスの底上げの弱点はほんの微々たるものだが、未来予知の精度が低下しているというものだ。
「あら?リーゼちゃん。何見てるの?…へぇ…」
そんな事を考えているリーゼにリオーナの声が聞こえる。
「リオ姉とリーゼのシャドウ同士の戦いはリーゼの惨敗だね。まあ、リーゼなら10回やれば1回ぐらいは勝てると思うけど」
「褒められてるのか、怖い事を言われてるのかわかんないわね?」
リオーナはリーゼの言葉を適当な様子で受け流した。
そんなリオーナをリーゼは真面目な様子で真っ直ぐ見据えてから言う。
「リオ姉。覚えてる?千年前の約束は健在だよ。リーゼは必ずリオ姉を超える」
「ええ。期待してるわ」
リーゼはリオーナとそんなやりとりをした後、シャドウの宇宙から視線を切るのだった。




