第50話ゾフィス夜王国
転移した先は夜だった。
おかしいな。
そこまで時差はないはずだが。
だが、俺の疑問にはフィリアが答えてくれた。
「ここは、13魔王内序列第4位、ミュラ・ゾフィスの魔法によりいつ来ても夜です。魔王本人がいなくなった今でも、魔法の効果は続いているようです。」
ちなみにそういうフィリアの王級スキルは、妖精王。
数々の妖精を利用できるこのスキルは使い方しだいでは、最強と言えなくもないが、フィリアは平均基礎ステータスがかなり低い。
せいぜい6500万程度。
これは、今まで見てきた魔王の中では最弱だ。
おそらく、このステータスの低さが、有能なスキルを持っていても、魔王順位の低い理由だろう。
今はフィリアより下の魔王は全て倒してしまったので、フィリアの魔王順位は最低の17位である。
ちなみに魔王順位の偽装はもうやっていない。
13魔王と完全に敵対した今、隠す意味などない。
ちなみにここにはいない、フィリムの方の王級スキル、精霊王は、簡単に言うと、劣化版七大罪のようなスキルだ。
今は簡単にしか、説明はしないが、4体の精霊を召喚して、それぞれ火が力、水が自動回復、土が耐久、風が俊敏に対する自動補正をしてくれる。
便利な能力だが、こちらも平均基礎ステータスは8000万程度で、それほど強くはない。
俊敏特化のエリスはもちろん、ステータス特化のライナー、ましてや魔法型のセリーにも及ばない。
コイツらは鍛えれば、エリス達以上になるだろうが、現段階では、エリス達の方が上だ。
そんな事を、考えていると敵がわらわら出てきた。
吸血鬼と言う種族は、個としての戦闘力が異常に高い。
更に時間帯が夜ならそのステータスは、3倍にも跳ね上がる。
ミュラの魔法で常に夜に変えられたこの国は、奴らにとって最大限の力を発揮できる場所なのだろう。
事実同格相手には、無敵だろう。
俺達が、同格だったらの話だが。
「エリス、セリー、フィリアっできるだけ殺さないで捕らえろ。少しでも経験値がほしい。」
「「はっ」」
俺の部下達が3方向に別れる。
さて、俺も久々に楽しみますか。
〜〜〜
この日ゾフィス夜王国は、地図から消えた。
吸血鬼の経験値は思ったよりも多く、俺のレベルは2つ上がって8になり、平均基礎ステータスは、1000億にまで上がった。
ちなみに今回は、俺の経験値のために動いてもらったので、エリス達のレベルは上がっていない。
俺達は、無人の廃墟と化したゾフィス夜王国を後に、エルライド王国へと帰っていくのだった。




