第582話対悪食戦線21
用意しなかったというのは正しくない。
オリジナルラグアはシャドウの宇宙はアルムスとイグロシアルの2つの惑星に関しては、面倒だからという理由で惑星ごと拉致した。
つまりバルダもキャリーもその段階では確かに存在したのだ。
なら何故、シャドウラグアはオリジナルラグア同様にバルダとキャリーを保護しなかったのか…
答えは簡単だ。
オリジナルラグアとは違い、オリジナルラグアに支配されていたシャドウラグアにそんな心のゆとりはありはしなかったからだ。
そしてその時点でシャドウラグアとシャドウシュドレの関係はそれはもう修復不可能な程に拗れてしまっていた。
そんな時だ。
今回の襲撃が起きたのは…
オリジナルラグアではない第三勢力の襲撃…
同時にオリジナルラグアはここぞとばかりに目的を果たした。
どうやら道具としての自分達の使い道は程のいい神格エネルギーの貯蔵庫としての役目と、予期していたであろう第三勢力に対する足止めらしい。
損得以前にオリジナルラグアの思惑通りに動かされるのが許せなかった。
シャドウシュドレは気づいた時には、シャドウラグアの元を飛び出していた。
〜現在〜
シャドウシュドレの目の前では目で追う事すらできない凄まじい攻防が繰り広げられている。
こんな化け物に勝つのは絶対に不可能だ。
逃げるなら今だ。
だがシャドウシュドレの足は動かなかった。
何故か?
それは自分で1番よくわかっている。
自分が化け物と前述したシャドウリオーナとシャドウリーゼの2人…
どちらも自分では傷つけるどころか、反応すらできないまま、瞬く間に瞬殺される化け物だが、コイツらは自分が殺そうとしているラグア…それもオリジナルラグアどころか、シャドウラグアにも遠く及ばないのだ。
こんなところで逃げるヤツがラグアを討つ?
笑わせるなっ!!
俺だって父さんの仇を…
シャドウシュドレがそこまで思った時だ。
『あら?そうゆうのは勇気じゃなくて無謀って言うのよ?よかったわね?冥土の土産に一つ勉強になって』
その声は頭の中に直接響いた。
この声はシャドウリオーナの神通か…
シャドウシュドレがそれを認識するのと、シャドウシュドレの体が突如爆散するのはほぼ同時だった。




